安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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レバノン選挙,もしの場合
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〈 2009年 6月 8日 月曜日 )


●レバノン選挙予想
レバノン選挙はこれがアップされるころには態勢が判明しているでしょう。即日開票され、既に未明の一部開票予測で与党シリア連合が小差でヒズボラ派を押さえたとの報道があるが、確実な結果は月曜のお昼過ぎになるらしい。大方の世論調査はヒズボラ連合が小差で議席数逆転勝利を予想している。

●与党テコ入れに策がないアメリカ
レバノンのヒズボラは国内ではテロ組織などとんでもない、れっきとした政党をもち、政府とは別に軍隊を持つ国家内国家である。イスラエルとの戦争で強さを見せてシリアとイランは支援を強化してきた。米はその間なすすべもなくバイデンがハリリ激励に行ったり、選挙間際にヒラリーが乗り込んで「反米ヒズボラ政府になれば支援やめるからね」と、警告脅しにいきましたね。パレスチナ選挙で勝ったハマスを結局アメリカと国連も「あれはテロリストだから人道支援以外行わない」となってしまった前例があるからハリリの与党支持者は「そんなあなた冷たいよ」となろう。ヒズボラはますます反米を募らせ勢をつけて選挙に挑んだのである。

親西欧の与党を助けようと数千人が選挙のため帰国した。だってレバノン総人口は400万人ぐらいで小さいですから数千人の有権者は頼りになる助っ人なのです。仮に与党がギリギリ勝てば悦ばしいのでありますが、もし負けた場合は次のシナリオが考えられる。

●仮定・ヒズボラ主導政府誕生
さてもしヒズボラ連合が多数になれば米のシナリオは三つ。
1) オバマはムスリムとの対話、対話、最後まで対話、進歩なしに終わる
2) ヒズボラを正統政府として認める。
3) もし与野党が協力して大連合政府になれば米は救われる
私はもちろん3を望みますがでなければ2を推しますね。そのむかし美濃部さんが東京知事に当選したとき米では東京が共産化すると本気に考えた政治家がいた。創価学会が公明党を作って選挙に出たとき、米では宗教原理派に乗っ取られると本気でビビった政治家がいた。爾来アメリカ人の攘夷心理はあまり変わっていない。

●オバマ、オバマ
オバマなら2の可能性はあるが、そうするとハマスを認めなきゃなりませんからファタハのアッバス自治政府とややこしくなるだろう。シリアとイランはヒズボラ支援をやめない。オバマの中東政策は対話路線といえども八方ふさがりである。オバマはパキスタン国境のタリバン掃討が肝要と説いて米軍を参加させずにザルダリに命じてパキスタン軍を動かせた。いまのパキスタン国難はオバマが撒いた種だ。それなのに頬かむりして、アフガン・パキスタン担当のR.ホルドブロークを派遣して難民の人道援助に矛先をずらせた。もちっとオバマの口を忘れて中東の現実を見てほしいね。(了)



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