オバマがドイツ入りしました。木曜日は寝るだけで今日ドイツ国内の強制収容所とドイツ戦線で死亡した米兵氏の記念碑とかに献花してメルケルとは顔を合わす程度、滞在は丸一日無い。フランス滞在のほうが長い、ドイツ軽視だとかの国民は不服だそうで、ガイトナーが日本を素通りして中国へ行ったのに日本軽視というのと同じですな。余の東西を問わず対米感情は複雑もようです。

●US＝ムスリムの新しい関係
オバマが４日カイロ大学の講堂でおこなった「アメリカとムスリム国家の新しいはじまり」New Beginning between US, Muslims演説が、総じてとてもプラスに受け入れられた。すくなくともイタリア・オペラ座みたいな豪華なカイロ大学講堂の聴衆には大受けでした。外国でのオバマ人気は衰えていない。演説はライブ放送で見なかったのですが、中東ではライブで各国字幕入りで放送されたといいます。相当な前準備をしている。大きくなったオバマ政府はこういうところにも使われているのですね。55分の長いスピーチ、そのヴィデオシリーズを見始めたが，途中で止め、こりゃテキストを流し読みした方が早い。

●コーランを多く引用した演説
大受けしたところはまずコーランを引用した「神に目覚め恒に真実を語れ。わたしがいま為そうと努めることはこれだ。」というところ。
As the Holy Koran tells us, "Be conscious of God and speak always the truth. That is what I will try to do today

ほかにもコーランを引用するたび拍手を得る。「無垢の人を殺す事は人類をころすこと。人を助ける者は人類を助ける者である、と。一億以上の民が信じるにたる信仰は少数の憎しみに満ちた者よりはるかに多勢だ。イスラムは暴力的な過激派による一部の問題ではなく、平和を推進する重要な要素である」
The Holy Koran teaches that whoever kills an innocent is as -- it is as if he has killed all mankind. And the Holy Koran also says whoever saves a person, it is as if he has saved all mankind. The enduring faith of over a billion people is so much bigger than the narrow hatred of a few. Islam is not part of the problem in combating violent extremism -- it is an important part of promoting peace.

まだまだコーラン引用があってアキがくるが、聴衆は満足する。エルサレム帰結問題に関してイスラム故事「イスラの物語」に言及したこんなところもありました。もちろん受けたようです。
Story of Isra, when Moses, Jesus, and Mohammed, peace be upon them, joined in prayer.

コーランの部分を取り上げるなら世界の宗教にみな共通項がある。オバマにイスラムに対する理解があることは結構だが、歯の浮くようなお世辞としか思えない。最後に聖書、ユダヤ教典、コーランから一節ずつ引用して締めくくった。それではMr オバマ、北朝鮮に、儒教のいいところをTV演説してはどうでしょう。北の将軍さまが折れるかもしれません。ま、日本へ来て神仏習合の寛容と調和を誉めても、乗ってこないでしょうが。

●イスラエル愕然
イラク、パキスタン、アフガニスタンにプロイスラム的見解をのべ、パレスチナ国家、国家と言いましたな、の全面的支持を獅子吼して大喝采を受けた。イランに厳しく出たのは中東で人気の悪いイランは非難しても安全なことと、アフマディネジャフを名指しこそしないが、ユダヤ発言を非難したのは12日のイラン選挙向けであろう。

にしても思い切ったイスラエル非難をぶちました。「西岸地区での入植地建設はけしからん。同意に反し、和平の試みを遮る障害だ。ストップすべし」
The United States does not accept the legitimacy of continued Israeli settlements. This construction violates previous agreements and undermines efforts to achieve peace. It is time for these settlements to stop.

ということで、オバマがイスラム圏にきて個々までイスラエル非難をやったのは、先にWHでナタニエフにピシャリとオバマが求めた譲歩も入植継続も拒絶された恨みというか、オバマ大統領初めて経験した面前拒否のシコリをここではらしたといえる。いまイスラエル国民は、紛う事なき後ろ盾の米大統が周囲のムスリムに向かってイスラエル非難を放つという経験した事がない事態にとても複雑なようです。

この演説、全体に漂うオバマ流レトリックで、盛り上げるけれど具体的な内容はない。だってオバマの中東政策はパキスタン、イラク、アフガニスタンみな悪くなっている。特にロシア衛星国が親米から親露へ親中へ変化しているのに対抗策はゼロである。

●日韓は固有文化を維持しつつ
書き忘れたこと、日本メディアで見出しにした社もあった「日韓が固有文化を維持しつつ目覚ましい経済成長を遂げた」というくだりは聴衆の拍手なし。Countries like Japan and South Korea grew their economies enormously while maintaining distinct cultures.
（了）

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Pnorama Box制作委員会

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