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盧武鉉の遺言
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〈 2009年 5月 25日 月曜日 )
●受けた英文訳遺書
盧武鉉前大統領が自殺したことで韓国の民情が1日を経て見えてきた。まず最初に報道されたのはパソコンに残した遺書で、この印象がなかなか一般受けする。英文報道が原文に違わないと仮定したうえで感想を述べます。 I can't imagine the countless agonies down the road. The rest of my life would only be a burden for others. I can't do anything because I'm not healthy. I can't read books, nor can I write. この部分は知らぬ存ぜぬが通らなくなった一人の人間の辛さと絶望が直裁で胸をさす。「尽きせぬ苦痛の果て知るを能わず、わが余生は人の重荷になるのみ。何ごとも手つかず気力なく、読書物書きすら能わず。」との心境に到れば死ぬしかない。 Don't be too sad. Isn't life and death all part of nature? Don't be sorry. Don't blame anybody. It's fate. Please cremate me. And please leave a small tombstone near home. I've long thought about that. 「悲しむを超えるなかれ。生死これ自然の内に在らずや。嘆くなかれ、他を恨むなかれ、運命なり。火葬に付し、故郷の脇地に小さき墓石を遺せたまえ。長考の末なるにより。」 つい漢文調になりました。いま調べたい事が在って今年は古書にかかりっきり、それも墨書き和綴じの仮名草書あり、文語体であったり漢文だったりで苦闘しておりまして、つい漢文調になりあしからず。 ●熟慮したベストの決着=ジャンプ自殺 長考の末とは4月30日にだしたTV声明「わたしはみなさんのまえで恥ずかしい、失望させて申しわけない」以来考え抜いて結論をだしたということだろう。何を考えたか、表向きは遺言にあるとおりだが、熟慮したのは決着をつけるベストな方法はなにかということだ。できることなら名誉を回復し、ふたたび尊敬を勝ち得、検察と李明博に一泡吹かせるにはどうすればよいか。「本も読めないし物書きもできない」とは自殺前の誰もが陥る心境で、したがってヘルシーではないが、頭はベストな効果を生む死に方を考えて止む事はなかった。 そして概ね盧武鉉が望み予測したシナリオにそって進んでいる。国民は大いに悲しみ嘆き罪人扱いした機関を恨むのである。盧武鉉はマイナーな政治家で、外国へ出ては話を合わし、帰りの飛行機で違うことを言うので諸外国から信頼された政治家ではなかった。不正とされる知人から家族が受けたとされる金額、新しく発覚した海外家宅の購入資金疑惑は、全斗煥や盧泰愚のような巨額ではないマイナーだ。マイナーが最後に放った豪腕が自殺だった。 ●熱しやすく冷めやすい 韓国の人々はとても激情的である。不正の証拠などは偶像化にむかう盧武鉉フィーバーのまえに意味をなさない。また不正疑惑の親族がセーフになることを弁護士出身出身の盧さんは確実に見越していただろう。さて熱しやすい人は冷めやすい。葬儀がおわれば平常にもどる。韓国の平常とは、盧家族への捜査再開もありうる。 ウリ党の盧武鉉支持者は、検察が死に追いやったとして非難を政府に結びつける。検察が悪いわけではない。また政府にも責任はない。・・・と言い切れないのが韓国のややこしいところで、李明博大統領が矛先を避ける為か国葬にすることを決定した。国葬にするくらいならはじめから捜査しなければよい。 それにしても歴代韓国大統領で、引退後に平和な余生を全うした者はいるのでしょうか。小沢さんは後ろへ引いたが西松建設の捜査は打ち切られていない。あの人は自殺するタイプではありませんから安心しておりますが。(了)
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