安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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四川大地震から一年、取材制限
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〈 2009年 5月 9日 土曜日 )


●四川大地震、被害者の公式数を発表
四川省大地震から一年になろうとしています。08年5月12日午後、M7.8の大地震で学校の校舎が倒壊し、生徒900人が生き埋め、死者1万人(というのが当局のはっぴょうでしたが、昨日8日に統計を公式発表した。それによると就学児童の志望者数5,335人、その大多数が校舎倒壊による犠牲者という。地震に寄る死亡者計7万人。

世界で地震が発生すると瞬時に位置、深さ、マグニチュードを発表するUDGS(米地質調査所)の常時更新されているサイトを見ると、M9.8、死亡者は少なくとも69,195人、負傷者3374.177人、行方不明者18.392人、500万人のホームレス。中国側が発表していない(あるいは隠している)行方不明者を加えると西側メディアで定説となっている死者総数9万人となる。行方不明を除いた統計はUSGS統計とほぼ一致しており、中国当局の統計は信じられる。

●自身当初のオープン政策
地震の当初、オリンピックを控えた中国は世界からの支援に門戸を開放し、日本赤十字社が救援チームを派遣したり、見舞金を集めてそれはそれはオープンな中国に驚いた。それまでは地震や水害が起こっても海外の救援をシャットアウト、発生地が地方なら、地震情報はあったことだけで詳細は国内にも知らせなかった。だからジャーナリストに「自由に取材してください」ときた日にはのけぞったものです。

記者カメラマンたちが例の倒壊校舎の手抜き、それに抗議する父兄に政府が「断じて許せない、捜査する」と頼もしかった。ところが、取材し始めると途端に厳しく制限し方向転換。天災だからどうぞとエエ格好したものの、校舎の手抜きは人災だ。問題は業者だけの人災でなく、役人もグルだから困った。やっぱり体質は変わっていなかった。

●小突き回されたFT記者、その映像
さて、震災後の復興はどうだろう、取材許可を得て入ったものの各国のチームは土地の役人に妨害されてルポにならない。ファイナンシャル・タイムスの記者とカメラマンが危険をおかして現地に入ったところ、こんな妨害にあいました。http://www.ft.com/cms/1644d08e-f450-11dc-aaad-0000779fd2ac.html
その映像を概要ここに解説しておきますのでぜひご覧あれ

最初は被災者のバラックお母さん地区で、ここまではよい。それで子供を校舎崩壊で失った一家のお母さんリー・イェンさん(良く映像に出る女性)が手抜き工事の責任者を追求しているというもで訪ねてゆくと、そこへナンバープレートのない黒塗車がきて、中から中央から赴任した感じのこわい男が出た!子分たちも来てヤバイことになってきました。通訳が警察を呼ぶと頼りないのがまずバイクできて、それからパトカーの制服がやってきたのですが、取材許可書があってもやっぱり黒塗りナンバーなしできたこわい男がいちばん権力がありそうで、小突き回され車の中に避難、車は取り囲まれ取材は不可能。リー・イェンさんに迷惑がかかってもいけないので引っ返した。と、まあそういう次第であります。最後に当局のスポークスマンが「そう言う事実はないし、そのような報告はない。取材は完全に自由である」と御託意を述べるのであります。

これウソ。あの校舎手抜きで残った予算を分捕った役人はいま中央政府のエライさんになっている者が、幾人もいるようです。特に手抜き工事の学校建設がラッシュだった頃、四川省書記であったZ-Y氏は現在政治局員である。(了)



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