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欧州勢が退場した会議
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〈 2009年 4月 21日 火曜日 )
● ユダヤ陰謀説を説くアフマディネジャド
ジュネーブで開かれた世界人種差別撤廃国連会議のトップに演説したイランのアフマディネジャド(以下アフマと短縮)が3分としゃべらないうちにぞろぞろ欧州勢が退場、そのうちの半数は座席の関係で真ん中の階段をおりて演壇の前を通って退場した。イギリス、フランスはじめ約30の国の代表、人数で40人はいた。日本は?退場しません。 そのまえにアフマが演説の冒頭でイスラムのお祈りを引き合いにだした途端に虹色のカツラを被ったこれは観客だが「レイシスト」と叫びながら突進、小さなボールをアフマに投げつけた。靴じゃなかったな。で、警備員に追い出される一幕がありました。なんでもフランスから来たユダヤ人学生らしい。 欧州勢がカチンときたきっかけは同時通訳で「欧米はホロコースト(ナチのユダヤ人虐殺)を口実にパレスチナを攻撃、イスラエルは人種差別の国」というところ。アフマは以前、ホロコーストは存在しなかった、ねつ造だと言って物議をかもした。その後も失言でしたと取り消していない。会場は退場に拍手がわき起こり、さすがのアフマも演説をしばらく中断、それでも30分以上しゃべりました。「ユダヤ人の苦難を前提条件に武力攻撃をくわえ、パレスチナ全国民をホームレスに陥れた」なんて。「米のイラク侵攻はシオニストの陰謀」というのもあった。 会場にはまだ70カ国の代表、アジア、アフリカ、中東、ロシア衛星国が残っていて、結構拍手がある。こういうユダヤ人虐殺はつくりもので、世のなかの出来事をユダヤ陰謀説とするアングラ話がアラブでは広く行き渡っている。改めて知らされた。 ●「人種差別」には世界共通の概念がない この会議は8年前に南アフリカのダーバンで第一回目が行われ、あまりに紛糾したので次回Durban IIの予定がつかなかった。しょうがないからジュネーブ国連本部でバン・キムーンが開催にこだわった。どこかおかしい。 今回はアフマが特別招待されたので米、イスラエル、カナダ、オーストラリア、ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランド、ニュージランドがボイコットし、前回より悪く失敗は確実。参加したイギリス、フランスなどはジュネーブ在の国連大使級で、首長の出席はイランと地元スイスの大統領(どなたですかしら)だけ。だから基調演説がアフマになった。欧州閣僚級ではノルウェーのストーレ外相だけかな、アフマの次に演説する順番だったので退場しなかった。なぜ退場しなかったかといま当地のメディアに釈明しきり。ストーレは言論の自由は認めるべきだと、そこでブーイングがあったが、アフマ演説の批判に口火を切ったことはお手柄というべき。 アフマを基調演説に人種差別撤廃の国連会議を開くなどと、正常なあたまではない。イランで退場騒ぎにどんな反響があったかとイランの英文各紙をみたが報道されていない。演説賛美し、不参加米を非難する内容ばかりで、アフマはグローバル経済危機への処方箋レターなるものを今日あたり世界の首長に送るという付け足しがあった。イランに経済政策ありましたっけ? 無知ほど強いものはない。(了)
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