安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ミサイル迎撃カラ騒ぎと誤報
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〈 2009年 4月 5日 日曜日 )


飲み食いに出かけて朝帰り。常よりおぼろでまだらの頭とショボショボ目で一筆、北ミサイル誤報騒動。

●平常心を失った日本
この発射に日本は迎撃で応じるという北以上に行き過ぎた国の威信をかけた。そのため一般市民はミサイルが失敗して落ちてくるのではと心配し、列島上空を通過した場合はデブリスがバラバラ落ちてくるかのようなイメージに煩悩している。狂気のカラ騒ぎである。

いうほど危険ではなかろうと達観している良識ある市民の疑いを払拭する努力もしない。また軍事評論家諸氏も、危険性について明言をさけている。もちろん日本の領土には絶対何も落ちてこないと断言できはしないが、人の頭上に落下する確率などゼロである。メディアは人々の危惧(この危惧には怖いもの見たさの願望も含まれるが)を少なくする意見の報道努力を怠った。

●「ミサイル実験」と呼ぶデマゴーグ
カラ騒ぎの原因はこれを「ミサイル実験」と呼ぶデマゴーグにある。ミサイルなら落ちる先はアラスカからカリフォルニアの沿岸海域である。ちょっと狂えば米大陸西海岸の陸内に落下する。たちまち米朝戦争がはじまり日韓が巻き込まれ、そうなれば中露も介入する。北朝鮮はそのような破滅行動をおっぱじめるだろうか。金正日はそこまで狂っていない。瀬戸際作戦、脅して譲歩させる外交手法は得意だが、北米大陸へ向かうミサイル発射実験は存外だ。

米はミサイル実験と判断することで国連に持ち出すと北を牽制し、迎撃ミサイル態勢を万全に整えているものの、国民の危機感をあおったりはしない。なぜか、あれは「人口衛星」との認識が背後にあるからで、失敗してゆっくり落ちてくるロケットを撃ち落とすのは容易い。

●「誤報」は最大の教訓
4日の発射予定は風のため延期された。期間予定は8日まであり、5日とも限らない。自衛隊関係者にかかるプレッシャーは日が経つにつれブレイクする担当者もでるだろう。「誤報」は正視できないミットモさだが、行き過ぎた緊張から出たコマであり世間体にはミスで済ませてよいではないか。これにカッカする者こそ異常とおもう。

衛星が先か、ミサイルが先か。国際社会の良きメンバーである国は衛星が先で、推進ロケットの先端に衛星の代わりに弾頭を装填すれば攻撃ミサイルに化ける。だがこの事実は国際社会から黙認されているのである。前にも書いたが、北朝鮮の目標は大気圏を脱出し軌道に乗せることで最小限の電波発信装置がついている。信じる具体的理由はないが信じない理由もない。

打ち上げの目標は世界の注目を集め、国威発揚して漸次民衆の不満を団結に向かわせる実に単純でくだらない金正日らしい発想であるが、だからといって人工衛星打ち上げのささやかな望みをねじ曲げて軍事ミサイルと糾弾するのは、傲慢ではないか。とまれ「誤報騒ぎ」は大変価値ある教訓であった。(了)



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