安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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G-20を制したアングロサクソン
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〈 2009年 4月 3日 金曜日 )


3日間孫のいるオスロにいて孫の子守りを少し、犬の散歩がてらに前の丘になった広い公園を1日3度出ます。公園内の主な道は除雪されて安心なのだが、芝生の上はゴボッと靴がめり込み、小径は踏み固められてアイス盤です。枯れ木に芽もみえず春まだ来たらず。それでも日中はベンチで目を細めひ日向ボッコがうれしい。そんなわけでTVも新聞もみずのんびり過ごしておりました。

●G20、我が道を許された合意
各国が今後2年間で総額で5兆ドルを景気対策に投入することで合意。一見オバマが要請した各国への追加財政支出に則したような印象を受けるが、各国別の数値目標は議題にすら上がらなかった。私の国はいくら計画しいているか数字を上げたのは一国もない。強制ではなく各国独自に進めることになった。そうなるだろうことはG20の財政閣僚サミットが始まる前からわたしはそう言ってきた。

これでメラケルは反対する理由がなくなり、サルコジは好きな事を喋っても良い環境を得た。よって反対論者はいなくなりホストのブラウンがG20は歴史的な成功と笑顔の2日を終えた。ひと月前にはIMFは改革せねばならず、新ブレトンウッズが必要と大口だったブラウンはこれまでIMFへの出資を控え、麻生太郎が1000億ドル出資をはやばやと決定発表したことを無視していた。胡錦濤も同じくIMFへの出資は拒んでいた。

●非現実的なIMF3倍増し
さて、IMFの融資額を一挙に3倍に拡充し世銀の金融なども合わせて1兆1千億ドルとは相当思い切った目標を掲げたが、果たして集まるでしょうか。中国は基軸通貨IMF不信を言っては見たが現実的ではないのいで引っ込めIMF強化に同意したが明らかにした出資は400億ドルです。日本の半分もない。

予想以上の出資を約束したパレスチナ復興基金で各国が約束した額を払い込んだ国は一つもない。ファタとハマスの離反が解消されず受け皿未定、用途の検証が困難なことが主な原因だが、支援国家は積極的に助けようという気がほんとうはない。

G20はアフリカ、アジア、南米の発展途上国が経済破綻して波及することを怖れるあまり、IMFの機能と財政規模の拡張に同意したわけだが、だからといってコゲツキが増すだけのIMF出資に積極的ではない、出し渋るだろう。

●G20、オバマ変化の術
オバマがYes we canで攻めていればこれほど波乱なくG20がおわることはなかった。会議前日4月1日のイブにオバマが行った演説分を読むと、アメリカの指導力低下を認め、実にしおらしいのである。「レクするためでなく聞くために来ました」I came here to listen," he said, "not to lecture." とか「今回、世界は安定しない米消費市場をあてにできないようになりました」 This time, the rest of the world cannot depend on the United States being a voracious consumer market.あるいは「G20各国それぞれ独自のアプローチを模索している」I know that G20 nations are appropriately pursuing their own approaches.のように、会議を引っ張ってゆく意思もなく米の経済力低下を認め、そのかわり話のわかるオバマを印象づけてメディアの人気をさらう。どんな状況でも自分を最良のポピュラリティーに置く変化の術。

●会議を制したアングロサクソン
オバマはこのあとNATOトップ会議に出るが、G20で立役者となったブラウンと人気No1を示したオバマにつくづく、国際政治を相変わらずリードしているアングロサクソンの底力を 知る……経済力の衰えにもいかかわらず。(了)



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