安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ソマリアの越境海賊
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〈 2009年 3月 24日 火曜日 )


ただいまある興味に熱中していて、コラムをさぼっております。木曜から家内が孫のいるオスロに出かけました。追ってわたしも月曜からオスロ行きですがしばらくは独り住まいとて、ヒマ潰しに当地のニュース、ノルウェー国籍のタンカーが海賊に乗っ取られた事件を一筆します。



●液化ガスタンカー乗っ取られる
船主がコロコロと変わる業界で、今はベルゲンの小さな「サルヒュース海運」という会社。オペは船腹に名があるベルゲンのOdfjel社(オフショードリルも手がける中堅海運社)が3年契約で使用するケミカル船、23,000トンで船名はバウ・アシールBow Asir 。1982年に釜山で建造された。

このタンカーはサウジから液化ガスを積み、ケニアのモンバサに立ち寄って南アへ運ぶ途中だった。船長だけがノルウェー人で、乗組員26人はいろいろな国籍らしい。ノルウェーはヘリを搭載した駆逐艦を一隻NATO軍としてソマリア沖へ派遣している。

さて、ノルウェー船は危険なアデン湾を通らない取り決めになっていて、海賊に拉致された場所はソマリアの南、ケニヤ海域で海岸から900キロの彼方である。アデン湾やソマリア沖は米中ロはじめ各国の駆逐艦が警戒しているため海賊たちは余り近づかなくなったが、かわって警備が手薄な遠い海域に性能の良い快速ボートやミサイル武器で出没するようになった。900キロも陸地から離れた海域ともなると、今後はインド洋の全域に対策が必要だ。そんなことできやしない。不便だが、児童の集団登下校に付き添うようにタンカーや貨物船を並べて護送船団を組む日本方式はとりあえず最良の方法とおもう。

各国海軍警備艇とソマリア海賊とのイタチごっこはどこのままだと決着がつかない。海賊業を生業としなくても良いような安定したソマリアの国づくりに援助が不可欠とながくいわれているが、無政府状態のあの国ではどうにもならないし、お金を払って解放してもらうしかないようだ。

船長が船会社のオペリーダーに電話で海賊に乗り込まれた模様を伝え、それによると海賊は一発も弾を撃っていない。高速艇で横付け乗りこまれ、乗組員に抵抗しないよう指示した。電話の最後は「操舵室のドアに海賊が来たので電話切らなきゃ」でした。

海賊は16〜17人。拉致と解放交渉のプロセスはこれまでの経験からまず船をソマリアの漁村港EylとHaradhelのどちらかで係留し、それから交渉がはじまる。乗組員の数、20.000トンの液化ガスの値段は? 交渉は保険会社があたり、多くはロイドのプロが交渉代理に立つ。最近は要求額の5分の一に値切った件もありました。妥結まで平均3ヶ月、長引けば半年覚悟の長丁場である。(了)



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