安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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パキスタン、テロ乱漫
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〈 2009年 3月 24日 火曜日 )


●特殊警察に自爆テロ
23日夜、首都イスラマバードで自爆テロがおこった。この日はパキスタンがイギリス植民地から独立した日、しかしこの日はイギリスに気兼ねして特に祝い事はおこなわないが市場は賑わう。爆発の場所はG7地区*シタラ市場に接する警察特殊部門SBPDの建物。犯人は署前のチェックポイントで咎められ自爆、当の警察官と犯人が死亡した。当局は近く首都とラワルピンディの5-6カ所で自爆テロがあるという情報を得ていたが、time, place, whoがわからず、カラチを含めて厳戒していた矢先におこった。

ここの警察建物は情報部と弾薬倉が付随し、G7の特殊部隊はVIP警護と警備具(道路遮断コンクリや鉄策など)設置の任務にあるという。昨今のイスラマバードは厳重な警備体制が敷かれ、政府、公共の建物に近づくのは不可能である。昨年テロにより爆破され大きな人的被害を出したた豪華なマリオットホテルは再開され、表に耐爆発物と爆風を避ける高いコンクリ壁が設置された。ホテル客も厳重な身体検査を通過してやっと塀内に入れる。

●目的も組織もバラバラな勝手連
ムシャラフが去ってからの政府当局の対策はまったく無力にみえる。理由はテロの標的がてんでバラバラ、実行グループもまた横の繋がりが希薄、あるいはまったく無関係な独立小グループが勝手に行動する。チョードリ判事長の釈放で政界に小康を取り戻したことと無関係にである。得体が知れない。

マリオットホテル爆破は外国人排斥。ムンバイでおこったホテルほか同時連続テロは印度少数ムスリムと呼応したパキスタンの過激派だった。昨年来、テロは右肩あがりに増加傾向にある。

混雑市場を襲う無差別テロ、警察署はすでに数カ所、最大の武器製造工場が爆破された。これらは反政府だが、この方面は警戒厳重のため直接対峙する見える相手、つまり警察署や治安部隊を標的にする。ほかに中国人の誘拐殺害に特化したグループもある。ムシャラフは何度もテロに曝され、メナヒム・ブットは暗殺された。で、これらの犯人はムンバイ同時テロで生き残った一人の実行犯と支援者二人以外、まったくわからない。これだってインドが証拠を突きつけてパキスタン当局に認めさせたからできたのであって、裁判ではパキスタン情報部の関与が焦点となる。

軍や警察の中にいる過激派シンパがテログループと通じているウワサはいまにはじまったことではない。シャリフやブットの頃からの事実である。テロ乱漫をザルダリ政府が野放し状態にしているのは捕まえれば政府や警察,軍に累が及ぶのを怖れるからではないか。

*G7地区とは何ぞや?イスラマバードの区割りは港区や千代田区、ブルックリンやマンハッタンなどの固有名詞を用いず、東西南北に道路計画されたいわば平壌京や平安京のように作られている。区画は地図索引のキリコ式に:
   北西から南東方向に、E→F→G→H→I
   北東から南西方向に、6→7→8→9→10→11
市場(ショッピング街と青空市場)は各区にあり(5x6=30)それぞれ質はともかく傾向として秋葉原や赤坂や銀座のように特徴があるという。(了)



Pnorama Box制作委員会

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