安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イランとアメリカの相互自己主張
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〈 2009年 3月 22日 日曜日 )


●イスラムのお正月
イスラムの正月をイスラム暦に従うと一年が354日なので毎年変わるはずですね。けれども西暦の正月にはそれなりのお祝いをする。中東イスラムからの移民が多い当地では春分の20日に元旦を祝う。オスロに住むイスラム系の各家庭ではどんな風に祝うのかが例年の短いニュスの一こまである。

居間に設えた華やかなテーブルクロスを掛けて祭壇とし、お供え物を並べる。背後の壁にはキリストや佛の置物がなく以外にアッサりしてますな。居間だからTVの横とかをその場所にする。それを見ていて思った、三宝に餅を重ねて干し柿を床の間に飾る日本神道式もアッサリしていいなと。過去36年のうち正月にかけて帰省したのはたった2回。ボーと思い出しておりました。

●お供えは「七S食品」
それはさておきイスラムのお供え物は大変バラエティーがある。ニンニクやリンゴ、皿にコインが盛られ、魚や野菜もある。それぞれに意味があるのかとの問いに、イラン語のSで始まる共通の食品7つを揃える「七S食品」だという。ハッジやアシュラのようなイスラムの大群衆的な祝祭とちがって、素朴でいいなとおもう。

●オバマの対話呼びかけ
そのイスラム正月に合わせてオバマがイランに対話を呼びかけるビデオ声明を出した。「相互尊重をべースに率直な対話」は議会演説でも提案した。今回は偉大で素晴らしいイスラムの文化と歴史が世界を豊かに・・といった外交辞令が入った以外、アメリカの価値観と民主主義の理念の土俵でという前提になんらチェンジはない。土俵を共有する欧州では大変評判がよかった。

●余談1 プロムプター依存症
わたしはオバマの演説、話にあいかわらず嫌悪感があってヴィデオ声明も憮然とチャネルを変えた。テーマが逸れますが、これは聴衆のいない撮影ですから正面にプロムプターを置いて首を振らずに話す。聴衆の前では演壇前左右に長く大きいプロンプターが隠しておかれ、そのため左右に首を振り振りだから正面に視線が来る事は滅多にない。それが名演説となる。先日はフロリダで久しぶりのタウンミーティングをやった。冒頭のスピーチはプロムプター2台のお世話でウマイんだな。久々にオバマ!オバマ!の連呼が沸きました。が、質疑になるとほんの短い質問にあーだこーだと長々と要領を得ない。アー、ウーが多くてイライラ。

●余談2 アーウーの故大平正芳首相
大平正芳首相はアーウーを取れば30分の話が10分で済むと言われるほど詰まりが酷かったが、大平さんは演説でもインタビューでも料亭でも奥さんともこの調子で首尾一貫しており、まやかしの臭いはない。あのアーウーが全くないサッチャーさんに好かれたほど、口ベタを補って余りある人間味が身上の総裁でした。余談おわり。

●相互尊重は相互自己主張の隠れ蓑
元に戻って、アフマディネジャドは何度も米大統領との直接対話を呼びかけている。ただあちらの価値基準をベースにした米敵対政策の転換を条件にした対話ですから両国に対話ができる土俵ではない。何年も前、国連演説に来た時には大学生との対話もやった。尤もホモの人権を問うた学生に「イランに同異性愛者はいない」と無知をさらけ出し、イランへの理解にはマイナスだった。

いま米からイランのハメネイ宗教CEOがオバマに「そちらが先に変わるべし」とノーを返答した。アフマディネジャドのスポークスマンとが前日に発表したの同じ趣旨である。わたしは、オバマの声明が上級レベルでの話し合いがついたのかなあ、と訝ったのでしたが、そうではなかった。双方の交渉出発点のギャップが明瞭になる結果となった。事務レベルでの話し合いすら中止状態になりそうだという。ブシェール核施設はフル稼働である。(了)



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