安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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グローバルに株価急反発
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〈 2009年 3月 11日 水曜日 )


●よくも悪くもウォールストリート発
破産寸前のCITIが黒字を出した。にわかには信じられないが、これでCITIのNY株は10日、前日比38%の急反発。つられてバンカメ28%、JPモルガン22%、Gサックス15%と軒並みに上昇。あっという間に欧州株もつられて英仏独の金融株を中心に二桁%の値上がりをみせた。日経平均は7200円台を回復し、あれやこれやの政界不祥事が加わって円安がいいところまできた。それと桜島噴火のヴィデオをみました。夜爆発的に隕石、溶岩が飛び散る様子は株より面白い。

●バンカメ、しばしの憩い
バンカメは既に数百ドルの資金注入を受けている。3度目の支援をお願いして財務省が追加策を立案中だ。ウロおぼえですが不良資産を買い取って議決権40%を政府が取得し筆頭株主に、事実上国営だ。そうではなかったか。ひょっとしたら追加支援なしにやっていけるかも。

CITIは1〜2月の業績で少し黒字がでたものの、税引き前の黒字であり、不良債券や貸し倒れ、借金をちょっとでも処理すればたちまち消える黒字である。通常業務で赤字が止まっただけ。

●空売り規制を緩和
波及効果はSECがUptick Ruleをまもなく再導入する意向がはっきりしたのが投資家に受けたといわれる。ま。そうでしょう。直前の取引価格+アルファで空売りが許されるのですから。しかしG20で金融システムの規制強化を目指す合意とどう釣り合うのでしょう。

●投資を呼ぶ声
NYSEの急反発にバーナンキが "good chance" the recession could end this year if the government could help restore stability to the banking system. とコメント。投資家へのリップサービスとおもう。「景気が年末に底を打つかも」、何をアホらしいと思う一方で、これはとても重要で賢明な投資家への語りかけではなかろうか。資金を持たずに借りや預かりで取引していたファンドは消えて、今残っている投資グループは現ナマ資金を持っていますから、好材料が出るたびにこれを使ってもらうようイチオシのリップサービスは悪くない。たとえ明日に急落しても。

オバマは株の上下に冷淡で、いつだったか指を上下させて日々変動する株価の動きに興味はないと大統領らしく言い切った。傾向は下がる一方ですから。しかし今回の反発は口にこそせず嬉しいでしょうね。

●米調査船妨害、中国に六分の理
先日の米調査船の中国側妨害について、中国は200海里排他的経済水域を理由に国際法違反と真っ向から反論した。それなら200海里内にはいったところで警告するべきでしょう。ここは「我が国の経済水域である。直ちに域外に去れ」と。でもおかしいですね、米調査船は何年も前から域内を行きつ戻りつしていた。今回は海南島に近づいてから妨害がおこった。海南島には潜水艦基地があることと、原潜や航空母艦を作ろうとしている中国に目障りではあろう。オバマの反応を試す試みとの見方もあるが、中国はこの期に米軍の航行に一線を画す決意があると見る。

排他的経済水域での海底資源調査を行う場合は、主権国の同意が必要だが、海底地形の調査に関する決まりがない。普通は国連が関与して主権側に取得データを提供することで了承される。今回の問題は三つ、海軍に所属する船舶であること、軍人が乗船していること、主目的が潜水艦の探知・偵察であること。私見をもって断じるなら米の主張は強引、中国に六分の理がある。ただし今回中国側が示したハラスメントのやり方は粗野、共感をよばない。(了)



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