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G20へ動き出したブラウンとオバマ
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〈 2009年 3月 6日 金曜日 )
●無力、ブラウンが銀行家をバッシング
ブラウン米議会演説は、起立喝采が英首相としては少なく米の報道は控えめだったが、イギリスでは人気押上に役立った。とはいえ保守党のキャメロンに10%の差をあけられ、次の選挙では労働党の敗北は動かない。金融危機発生で元財務大臣の首相が矢継ぎ早に打ち出した銀行救済,景気浮揚策で人気をブリ返したが、その効果はみられず支持率は32%に下がった。政策金利を2月4日に続いて昨日も0.5%引き下げ、ただいま0.5%。ほぼゼロ金利である。 そのブラウンがG20で銀行トップの給料とボーナスを制約する国際規定を作ろうとしています。 ●ヒラリー外交の光と影 ヒラリーはパレスチナでアッバスと一緒になって2国共存和平案を拒否するネタニヤフを批判(直接ではないが)したのでビックリ。仲介者が公然と片方と一緒になってはマズイではありませんか。なんどもいうが中東和平達成は絶望的だ。 ヒラリー外交はブリュッセルのNATO外相会議で主役を演じ、欧州に歓迎されるオバマのチェンジを二つ示した。私感としては、時間的に共和党政権でも採用したであろう措置とおもう。ひとつは、グルジア紛争でのロシア軍侵攻に抗議してNATOは米の強制でロシアのオブザーバー地位(NATOとロシアの定期協議)を凍結していたが、これを解除したこと。もうひとつは3月31日に米が計画しているアフガニスタンの未来を話し合う閣僚級の国際会議に、イランを招待するというもの。多くの参加国の一つとしてであり、オバマがかねがね公言してきたイランと米の直接対話は、ぼかした形になったが、現段階ではこの方がとおよいもう。 しかし米が望むアフガンへの増派、支援金に欧州は乗らなかった。イギリスを除くとホンのおつきあい程度である。サルコジはフランス軍のNATO復帰をまだ実行していない。このアフガン国際会議も悲観的と言わざるを得ない。 ●オバマ人気にかげり ブラウンは就任後1年9ヶ月たっているので支持率が衰えるのは当然。オバマはまだ就任2ヶ月経っていない。人気は相変わらずだが、それでも発足時の支持率90%近くから60%を切るまでに下がった(ギャラップ)。 オバマはヒラリー欧州外交の仕上げに4月のロンドンG20金融サミットに合わせて、NATO首脳会議、EU首脳と現議長国チェコで会う。ここではプーチンが嫌うMDシステムの配備に関してチェコはOKだがEUの多くは不必要と考えている。オバマフィーバーが残る欧州歴訪で、メディアの中心になることうけあいだが、中味のある具体的な成果があるだろうか。就任100日が過ぎれば、政府・民主党に動揺が走るのはそう遠くない。 ●NATO次期事務長は NATO軍最高司令官は米軍人の出世コースであり、オバマが任命するがNATO事務総長、任期4年はEU主要国の首脳がワインを飲みながら決める。現在は元オランダ外相、後任候補のトップはデンマークのラスムセン首相である。軍事面での米およびNATO協力はイラク、アフガンで証明済み。難点はイスラム風刺画事件で中東から喜ばれない札付きが障害か。 ●アメリカの中東民主主義促進とご都合主義 アフガニスタンに関して、カルザイの任期は5月まで、憲法に準じて早めに大統領選挙を行うというカルザイに対して、米は治安を理由に8月20日に延期させた。民主主義の根幹を台無しにする無理強いである。同様に大統領任期がとっくに終わったアッバアスを米はいつまで続投させるのか。ガザ侵攻のあおりで選挙が困難になり漸次継続したが、選挙をやるべきではないか。選挙ならハマスも喜んで参加し、ハマスが勝利するのは明白なので、米はアッバスの任期についてヒタ隠しに黙っている。(了)
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