安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ガザ復興へ喜捨て、支援国会議
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〈 2009年 3月 2日 月曜日 )


●あれからひと月
イスラエルのガザ侵攻が終わってから1ヶ月以上が経った。昨、日曜日もガザからカッサムが10発イスラエルに打ち込まれ、相も変わらず停戦が話し合われないまま人道物資を例外に境界封鎖がつづいている。ガザ国連事務所への支援物資がハマス民兵に強奪され、仲介するハマスの組織が横流しするため国連事務所は被災民へ直接配給するしくみに変更した。破壊された建物の復興はまったく手付かずの状態、セメントがなくては何も始まらない。

●喜捨て、米9億ドル、日本2億ドル、
今日、2月2日からエジプトの避暑地シャルム・エルシェイクで、イスラエル爆撃によって破壊されたガザの復興と人道支援を話し合う『パレスチナ援助国会議donorユs conferance』が開かれる。再建に要する額は28億ドルと大きい。ちょっとハッタリだとおもうが、とにかく70カ国くらいが参加して分担金を話し合う会議である。各国の拠出額はおおまかに報道がある。アメリカはクリントンが会議に出席し約3分の1、ポンと9億ドル拠出を明らかにする予定。オバマは太っ腹ですね。ま、本国の景気刺激パッケージに比べればピーナツですもの。日本は2億ドル拠出する。イスラエルが幾ら出すかは全く未知数。いまEUは主要国が東欧メンバーから救済金を無心されていてよそに回す資金の余裕はない。英独仏伊西は渋ります。

●金食い虫のパレスチナ
刑法なら破壊を行った側に最も弁償責任があるのだが、中東あたりの戦争、イラク、アフガニスタン、パレスチナからグルジアまで復興資金の拠出をせがまれる。日本は1993年から2008年まで10億ドル(いまの円高に換算しないでください)、その前20年間のアラファト時代に遡ると30億ドルくらい寄付したのではないだろうか。米が日本の戦後復興に出した総額は、これまでパレスチナが受けた総額に比べれピーナツである。パレスチナに借款などナンセンス、喜捨てである。ファタ派利権政治屋どもが掠め取り、ハマス殺し屋の維持に向けられる部分も少なくない。

●支援金はアッバスへ?
このエジプト会議を前にガザの被害ぶりを視察する西側閣僚が増えている。当地のヨナス・ストーレ外務大臣が入り、日曜日はEU中東特使のブレア元首相も電撃訪問した。もっともハマスとは会わない。クリントンも今回の中東歴訪でガザ入りをするのではと思われているが、米はハマスをテロ組織から外していない。支援金もすべて西岸のパレスチナ自治政府、アッバス大統領側に渡されることになる。

●支援金が取り持つハマスの接近
ハマスとファタハが協力する枠組みが先週やはりカイロで決まったのは、そううでもしないと支援金をハマスが受け取れないからだろう。連合政府はイスラエルとの和平交渉の、もしありえるとしたらですが、前提でありけっこうなことだ。

●和平交渉に応じないネタニヤフ
一方、イスラエルの方はネタニヤフとリブニの連立交渉が最終的に決裂、4月から右派連合政権が発足する。リブニのカディマが一票差で最多党になったが、票数は現状維持であり、右派勢力伸びた。ネタニヤフのリクードが大幅に伸び、リクードから脱党した極右の新党が、労働党を食いつぶした。つまり右派が中道より勢いがある。リブニは野党になるしかなかった。

ネタニヤフの政策として和平交渉はない。しばらくはない。オバマほか西側中露とも「二国家共存による和平」を推進するが、ネタニヤフ政府はパレスチナ国家を認めない。オルメトがミッチェル特使の訪問にエルサレム分割や西岸の入植地一部撤退など驚きのサービスをしたのも水の泡となった。

●右に転じたイスラエルとウランを貯めるイラン
そのオルメト首相は任期切れ間際になったいま、米実業家から現金封筒を受け取った容疑で検察が起訴する方針という。またイランは核兵器に必要なウランを貯蔵したと、マイク・マレン米統合参謀本部議長が発言したのをゲーツがまだ先だと否定した。が、どっちにしろ目前に迫っている。オバマはどうするか、ネタニヤフならイランの核施設に電撃攻撃をやるかもしれません。アメリカは難しい中東展開に直面した。(了)



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