安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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大胆な予算、Audacity of Budget
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〈 2009年 2月 27日 金曜日 )


●オバマの巨大予算
アメリカ2010年会計年度予算3兆5500億ドル(約300兆円)をオバマが発表した。これを議会が審査し、4月初めをメドに予算成立をはかる。この額は米予算としてもちろん前代未聞の巨大予算である。先回ヘルスケア予算6340億円にふれたが、全容がわかと空恐ろしいほどの『大バマ振る舞い』です。景気刺激策は必要だ、ではあるが予算の基本は出来るだけタイトにすることである。次政権にまた次世代に赤字を押し付けてはならない。人々は経済危機にベルトを締めて窮乏に耐える工面をしているというのに、オバマ政府はベルトを外した。このHuge spendingをHeight of Audacity(大胆の極み、無鉄砲)と、ブッシュのスポークスマンだったFrattoが皮肉った。

●職安への長い行列
NYの職業安定所はこの寒い中、連日長い行列ができている。フロリダの職安に並ぶ行列はキロの長さ、半数は閉館に間に合わない。失業手当を申し込む人が先週は66万人でした。来月は毎週75万人が新規に増えると予想されている。最新データによると失業者数5112.000人、予算で350万人の雇用創出が万が一実現してもそのころには300万の失業者が残り、公共事業が追われば一挙に600万人に増えるのではないか。

●赤字の垂れ流し
こんなわたしの単純で意地悪い演繹が入り込む余地のないオバマの自信に溢れた発表演説ですが、マジメに心配、賛成できない。この予算で09年度財政赤字は1兆752億ドル、10年度が1超ドルとなる。2011年度会系予算は・・減るもんか。再来年は3倍になるかもよ。オバマ経済チーム(サマーズやガイトナー)の試算では2013年までに赤字を5330億ドルにもってゆく。ブッシュの残した一兆なにがしの赤字を半減するというわけ……マユツバだなあ。

●ムダ遣いを刎ねる
オバマが節約する箇所は要約すると省庁公共機関のムダ遣いに大鉈をふるうこと。曰く:「政府財務管理も家計も変わらない。過去長いあいだ、血税である予算がどのように使われたかすべてが明かされる事はなかった。我々は帳簿のページからページへ、行から行を調べ上げ、ムダ遣いと無益で効果のないプロジェクトを除去する。」普遍的に認知された不正に対して、オバマは容赦ない猛々しさを見せる。こわい正義のお奉行様か特高か、小心者は不安でなりません。

前中川財務大臣ご一行のチャーター機大名旅行など不可能だ。日本では河野太郎氏が周囲の冷淡に孤軍奮闘されている。さぞオバマが羨ましいでしょう。ほかに高額所得者への増税、源泉徴収の引き締め、法人税増し、CO2排出ワクの企業間取引制度(Cap and Trade)、農業など補助金カット、軍需産業にメス、などがある。

●つまずきの兆候、医療の例
医療制度を全国民に広げる改革と同時に、制度の見直しで医師の診療報酬が20%ほど削減される。医師なら年収2500万円以上の高額所得者、独身の医師なら年収2000万円はあるだろう。そうすると所得税が39%持っていかれる。医者と弁護士を敵に回すと難儀だぞ。省庁で会計の流儀を変えると抵抗にあう。官僚の見えない抵抗にどう対処するつもりか。メキシコの麻薬マフィアを一網打尽にしたようには行くまい。(了)



Pnorama Box制作委員会

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