安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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オバマ演説、グレート・アンビション
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〈 2009年 2月 26日 木曜日 )


●ああ、おもしろくない
オバマの議会演説をナマで見る。当地時間は夜の3時から。50数分の演説が随分長く感じられ、実は最後まで興味がわかなかった。なにもかもよくなると思わせるアンビシャスな言辞は、オバマ支持者には頼もしいのですが、反対のわたしはおもしろくない。『我々は建て直し、回復する。アメリカは以前にも増して強く立ち上がる』。すると後ろ席のバイデンとペロシが率先して立ち上がり議場はスタンディング-オウヴェイションだ……おもしろくない。

教育医療政策に時間を割いた。学校の先生や警官や医療機関のワーカーは職をキープできる施策でもある。連邦政府、州政府や地方自治体職員は安泰でしかも大型公共事業を発注する立場とくれば、ワシントンでオバマ人気が高くなるわけだ。

『2020年までに、アメリカは大学卒%で再び世界一に返り咲く』。奨学金を量的拡大してまで、意味のないアンビションと思うが。

●障害物競走に強いオバマ
とはいえ、演説の端々に景気刺激策がうまく機能するか懸念があり、フェイルセイフの措置として可決したアメリカ回復と再投資法にふれ、世間の懐疑論に理解を見せた。サボタージュされると困るし、無視できない障害勢力があることを承知し、対策を考えるところが細心で大胆なオバマの真骨頂だ。

『よかれと始めた政策がたちまち公約破りになりムダ金になってしまう事態をここワシントンでいやというほど見てきた』と。その番犬にジョー・バイドンを据えてニラミを利かすという。バイデンは怖い上院議員だと以前書いた覚えがある。オバマは外交経験の不足を補うためにジョーを副大統領に選んだ、などと解説した輩は恥じるが良い。ジヨーの怖さは使える、これがオバマの腹づもりなのでした。

●ヘルスケア予算発表
住宅救済予算についで、予定通り議会演説の翌日にはヘルスケアの予算が明らかになり、オバマが26日に発表する。向こう10年間で6340億ドルの準備金を設立するというもの。医療費は景気が悪くなるほど増えると言われる。支給を厳しく審査するとかシステムの見直しにと言った実務に着手する。こういう現場での実務のやり方は従来と変わらないだろう。オバマの大いなるアンビションを有効にするためには「省庁改革」が必要とおもう。だがオバマの大きな政府は、本人は否定するが、役人の民間規制を強くする息苦しい社会にならないか。

レーガンは「アメリカが解決できないような大問題は世界にない」と楽天的なアンビションを掲げ、小さな政府に徹し自由な空気を作って成功した。オバマはレーガン以上にアンビシャスであり、そのスタイルはより規制で達成しようとする。

●バーナンキの景気回復スキーム
先だってバーナンキが議会証言で景気の底はこの1年、2010年から上昇に向かい、完全回復には3年くらい要するかも、という旨の発言があり、オバマの自信「財政赤字を任期中に半減する」と呼応する。ありがたいお言葉ながら、希望的観測にしておこう。(了)



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