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サーブ、破産再建の試み
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〈 2009年 2月 24日 火曜日 )
●破綻ちかいGMとクライスラー
GMとクライスラーが破産法11条にもとずく再建を米財務省と交渉に入った。昨年の融資は当場しのぎで、追加融資額をビッグスリーは既に提示していたが、それくらいで再建できる見込みはない。GMの倒産が避けられないのはわかっていたことだ。この期に及んでも、オバマチームは政治的にGMとクライスラーの破産が引き起こすショックを避けたいために、ずるずる融資を膨らませる。その融資を手助けする民間投資機関は政府の保証があっても期待できず、結局は政府の資金をつかわなければならないだろう。 昨年、GMは傘下の「サーブ」を面倒見切れないと財政支援から手を切った。このときサーブ側はスウェーデン政府に公的資金注入を要請している。いま本家が米政府におなじ要請、どうやら延命できそうだ。 ●サーブ、四面楚歌 だがスウェーデン政府は20日、公的資金によるサーブ救済(約540億円)をモード・オロフソン通産大臣(女性)がビシっと拒否した。額が問題なのではない。10年間、毎年赤字を計上してきたサーブに幾ら大枚つぎ込んでも未来はないというのが理由。2008年の赤字が約320億円、2009年も同程度かより悪い予測である。政府のダメは国民の支持を受けた。 わたしは車を運転しないのだが、サーブはガソリンを大食いする以外はいい車ですね。ま、このガソリン消費がネックになって環境に熱心なスウェーデン政府(京都議定書のCO2排出削減目標をほぼ達成した唯一の国)が消極的になり、また、グリーン車への方向転換も難しい。だが良い車だ。空冷座席というのがある。革張りのシートに小さな穴が均一に開けられていて、空気を吸い込むのである。車の冷房をしていてもお尻がベっとり汗ばむ事があるが、それがこの空冷座席でははない。ヴォルヴォよりスポーティーでクラシックなデザインも好きだ。 個人的嗜好を申せば斯くいい車であるが、10年儲からない会社を税金で支援するなど共産主義国でもはやらなくなった。サーブの本社はトロルヘッタンTrollh閣anという町にある。このまちの住民は親子にわたってサーブで働いていたり、会社と何らかのつながりがあるくるまのまち。トヨタの豊田ミニ版である。本社工場では4100人が働いている。いまこの町で倍に増えた職場は職業紹介所、笑うに笑えない深刻さである。 ●破産再建の試み さて、八方ふさがりのサーブは23日会社更生法というのか、ヴェンネボルグ高等裁判所で法的な債券交渉にはいった。お金は出さない政府だが通産大臣はサーブ本社に現れた。状況把握と出来る支援があれば骨折りにやぶさかではないとか。一週間操業停止だったが月曜日に工場再開ただいあま新しいオウナーを、あるいは合併先を模索中。ドイツのオペルとまず合併、その後でイギリスのヴォグゾルとの3社合併案もでてきた。合併工作にあたっているのはドイツに駐在するGMの欧州支配人である。スウェーデンメディアによるとオロフソンがメラケルと電話で相談したというから、有る程度進展があるのかも。法的に会社再建期間として3ヶ月の猶予があたえられているが、再建は90%悲観的だ。(了)
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