安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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オバマの助っ人共和党議員たち
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〈 2009年 2月 16日 月曜日 )


●景気刺激策に賛成した共和党議員
オバマ最初の議会採決法案である景気刺激策が通過したのはひとえに上院議員3人、の賛成票のおかげである。ご承知のように下院は多数決できまるゆえ、過半数を占める民主党が数で押し切れる。実際、はじめの審議と再協議において全共和党議員が反対にまわった。

60票以上が採決に必要な上院では、民主党議員と民主党系独立派の2票を足しても58票で2票足らない。上院審議では初回と再協議の2度とも同じ共和党議員3名の造反で61票及び60票で可決、オバマはギリギリで辛勝した。ダイジェスト的報道からはそのようには見えないが、造反議員が二人なら72兆円の景気対策法案は潰れたところだ。

●モデラートという札付きの造反議員
アメリカでは法案採決に党方針に反しても造反とは呼ばない鷹揚さというか、自由度があり、モデラートとされる。しかし異分子であることにかわりはなく、ヒヤメシを食わされてきた。その女性議員、スーザン・コリンズSusan Collinsと オリムピア・スノウィOlympia Snoweはともにメイン州選出。二人の造反経歴をみると税制、予算、環境、社会政策などでブッシュの提出法案に反対している。幹細胞研究を支持、同性婚に反対、違法移民アメリカ国籍を与える立場、未婚女性の堕胎禁止に反対など、民主党的リベラルなのである。

さて、オバマチームはこの二人とペンシルヴェニア選出のアーレン・スペクターArlen Specter上院議員を一本釣りするように手を差し伸べた。人間、自分を引き上げ大事に扱ってくれる人物や組織になびく。ましてやこれまでヒヤメシを食わされてきた異分子議員が、バイデンはじめオバマチームから丁重に協議申し込みがあり、その意見が取り入れられるなら節操を曲げたわけではない。減額/増額コンビで合意できるとなればひと肌ぬぎたいとおもうだろう。

●オバマの熱い視線を受ける女性議員
両院協議成立後、スーザン・コリンズが上院多数党院内総務のリードと一緒に記者会見に臨むなど、最初はあのおばさん誰?と思ったが、二人は大統領執務室でオバマからよろしく嘱望されるまでになり、TVメディアのスポットライトをうけるようになった。

これら民主よりの3人には今後なにかにつけ、ホワイトハウスから熱い視線で「話し合い」の誘いがかかる。お三方の忠誠がオバマにゆくかぎり、共和党はいくら猛反対しようと法案を阻止できない事態をよび、Susan, Snowe, Specter の3S上院議員が、共和党の賛成を得られないようなオバマ法案に関してはキーパーソンとなる。

余談:オバマはWポスト紙がいうバイパス・キャンペーンにエアフォース1を使って地方遊説に家族を伴って飛び回った。景気刺激策審議4度目最後の上院協議でエドワード・ケネディが病欠したため、母堂の葬儀でオハイオにいたブラウン議員をオバマは小型の政府専用機で呼び戻し、送り返した。経済危機の折から定期便でもよかったはずだ。民間金融トップの専用機使用にはアタマにきたオバマでしたが、採決でもアタマにきましたか。(了)



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