安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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好スタートを切ったオバマだが…
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〈 2009年 2月 11日 水曜日 )


●上院もセーフ
米景気刺激策、週明け火曜日にズレこんだ上院での審議が8380億ドルで可決された。修正額はわずかで、下院が通した8190億ドルより多い。これなら両院協議会での一本化作業は問題なし、おそくなっても来週には決まる。オバマの景気対策はさい先よいスタートを切りました。

とはいえ両院ともギリギリで可決したので、下院の共和党は全員反対にまわり、60票必要な上院では共和党の3人が党方針に逆らって賛成票を投じたのでやっと61票に達し可決にいたった。いわば薄氷を踏む攻防だったわけ。モメンタムはまだオバマにありき、であります。

●共和党のリベラル、コリンズ上院議員
党方針に従わない議員が反乱分子と指差されるあちらやこちらの国と異なり、米議会ではそれほど責められない。大統領選挙では大物共和党員がオバマ支持にまわったり、そういう風潮を淋しくおもう。反対にまわったひとり、スーザン・コリンズはかねがねGOPならざる意見の持ち主である。WPのニュースにこの人の議会碌があったので見ると、最近1月28日から上院で行われた動議で党方針に反対13,賛成7を投じている。ン? つまり民主党に倍近く賛成を投じた共和党員スーザンさん。ここまでくると淋しいいどころかマンガですな。

この巨大原資を投入する景気対策が今後10年のタームで消化する。3年くらいで景気回復が軌道に乗れば、全額が消化される事はないだろう。また賛成派の多数がやらないよりマシ、ここで指加えて倒産と失業増加を眺めているわけにもまいらず、とにかくやってみようということではないか。オバマの経済効果と雇用創出400万人を信じる底抜けの楽天家はまずいないだろう。

●官僚天国、専制国家に似て
さて、オバマ政府は大きな政府、公共投資に老朽校舎の改築やプールや体育館を充実、図書館整備など教育機関全般に投資されるより多くが連邦政府の建物施設、備品、コンピューター、通信網のリニューアルに費やされる。お役人としては多額をあちこち仕分ける楽しさがある。何が楽しいって、お金を使うほど楽しい事はありませんからね。失業の心配がなく、業者がキチンと仕事しているか、管理審査をイジメる快感がある。こうしてオバマ政府は専政国家に似て、建設関係と役所に支持基盤をかためる。

●本領を見せたガイトナーと冷たい株市場
金融安定化対策案は、ガイトナーが理路整然と詳しくペーパーなしに説明。ここでは約一兆ドルの不良債権の買い取りとFRBに約一兆ドルの金融緩和策が2本の柱。策の善し悪しは正直いってわからず、それより終始丸暗記で喋るのに感心しきり。我が国の歴代財務大臣には出来っこないですからね。こんなところで感心している情けない素人としては、金融プロの反応「NY株大幅続落・金反撥」は目からウロコがとれない感覚です。

●権威と市民レベルを使い分けるオバマ
WHで初の記者会見をおこなったオバマの演出は旧欧州トップの記者会見とは全く異質、穏やかな質問と説教的答弁。いまでは東欧でもあれほど権威的ではない。WHではこのスタイルで通すのでしょうか。かわりに昨日はフロリダでタウンミーティング風の演説会をおこない、選挙中に見慣れたオバマ集会の雰囲気がよくでていた。しかしそれもいつまでもつか、景気対策の効果、イラン戸の対話、イラクの政情、アフガニスタンとケシ栽培、どれをとっても実体は報じられるより悪い。(了)



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