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公務員を敵に回したサルコジ
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〈 2009年 1月 30日 金曜日 )
● 金融救済に反撥した市民
グローバル経済危機に陥ってから初めての大規模抗議デモがフランスでおこりました。にバスチーユから出発した公務員のストライキに民衆が合流して65000人が市中心へ,一部の若者が投石・火炎瓶で治安警察と衝突した。サルコジ大頭領は銀行救済に大資金を注いだが、産業界への支援がない。政府の緊縮財政とかで公務員には給料据え置き、医療福祉をカットしたのにたいして国民の不満が爆発した、ということでしょうか。 組合側の発表ではマルセイーユやリョンなど全国で250万人を動員、警察は100万人という。オバマ就任式の大観衆くらいをイマジンするとわかりやすい。鉄道・バスが間引き運転になるので会社をサボってデモに参加するところがいかにもフランスらしい。国民の69%がこの抗議デモに賛成しています。 サルコジさんが「給料を上げる余裕はない」と高飛車に言ったのが公務員の怒りを招いた。失業率10%に近くなった現況では公務員昇給ストップがあっていいとおもうが、言い方が悪いですよ。これから労組や産業界と話し合う低姿勢のサルコジさんが見られます。ちょっと想像しにくいですが。 ●フランス、市民デモの伝統 移民の若者の暴動を押さえ込んで名を挙げ大統領に選ばれたニコラ・サルコジさんが、初めて直面するシリアスな全国規模市民デモだ。ドゴールを倒し、ポンピドゥーを倒し、極右のルペンからシラクを守ったのは市民+学生デモにほかならない。フランスで市民と学生が一緒になってデモると政治危機に発展しかねないのです。うかうかしていると学生アルバイトの口が狭まり、学生を巻き込むデモに発展します。そのまえに公務員を宥めておく……しかし主な公務員労組だけで八つあるそうで複雑ですね。 さて、経済危機のため福祉をカットした国は聞いたことがない。悪化するイギリスでも福祉と失業者支援はカットしていない。ロシアはプーチンが公務員給料の昇給制度、軍人恩給や年金その他を削るような国民の不満に通じる措置はいっさい取っていない。このことはプーチンがダヴォス出席を前にBloomberg 通信との長時間インタビューで述べている。 ●余談 ワルの達人 ブラゴジェヴィッチ(Rod Blagojevich)イリノイ州知事の弾劾審議で政界生涯追放が決まった。州上院の全会一致で職権乱用と採決、電話録音や書類の物的証拠が明白でブラゴが「私は無罪」といかように頑張っても悪あがきです。とはいえ、この人のネスと戦意にはずっと感心していた。日本人には希有なタイプである。最後の弁明演説を聴いていると、なにやら吸い込まれて票が割れると思った。ワルの達人は判決のあといつものようにジョッギングをこなした。(了)
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