安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ウクライナのガス3週間紛争
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〈 2009年 1月 26日 月曜日 )


● ロシアvsスクライナ3週間紛争
天然ガス供給を巡るロシアとウクライナのガス紛争がついに解決、欧州に通常圧力で到達したことが20日確かめられた。ロシアが元旦にウクライナと同国経由の欧州向けパイプラインの栓を締めてから3週間近くかかっている。ガそのあいだとばっちりを受けた中東欧各国ははた迷惑このうえない。原因はウクライナ、大統領のユシチェンコである。ロシアのガスプロムに文句を言うのはおかどちがいだ。にしても4〜5日で暫定解決するとおもわれ、わたしもそうおもったが、今回は昨年のテツ、悪者にされたロシアが妥協したテツを踏まず、ガスプロムが抜け道を許さないビジネス契約を迫った。

●オレンジ革命の終焉
ウクライナ首相ユリア・ティモシェンコはオレンジ革命の前からロシアとの石油ガスビジネスでリッチになった特権階級、あの三つ編みを上に巻いた金髪の女性である。ユシチェンコの盟友としてオレンジ革命を達成したあとは仲違いしたりまた一緒になったりしているがライバル関係にかわりない。が、このたびプーチンと最終的に合意に達し、ロシアの信頼を得た。キエフ政権の重心がシフト、モスクワとブラッセルEUから好意を得たティモシェンコにかたむきつつある。合意文書にはないがティモシェンコはウクライナ・ロシア関係を修復するとプーチンとの記者会見で発言。この一言をもってしてもリーダーシップのシフトが窺い知れる。反ロシア、親西欧を進めてきたユシチェンコの政策は欧州からも疎まれ、次の大統領選挙(今年12月?)で消えるだろう。

●ガス代2割引で合意
さて、合意内容の骨格は:
1) 2009年のおわりまで市価の20%引きでウクライナにガスを供給、ウクライナに支払う欧州向けトランジット輸送料は市価より低価格とする。
2) 010年からガス代、トランジット料ともに市価に準ずる。
3) 契約は署名期日(1月19日)から10年間有効。
ま、ロシアとうクライナの契約ですからいつまたご破算になるかわかりませんが、実際、1)の輸送タランジット料は欧州の市価で4〜5$/kcのところを1.7$/kcですから、ユシチェンコ派の不平がある。

だがロシアのガスを政争に利用してきたのはウクライナである。毎年続いてきた紛争はウクライナがロシアと中央アジアから欧州向けのガスをすべて中継せずパイプシステムの各所で抜き取っていたことがそもっそものはじまりである。これはEUの調査見解でもあきらかだ。契約文書には透明性が謳われ、力のあったRosUkrEnergo(ロシア・ウクライナ・エネルギー)という仲介会社が排除された。オレンジ革命後もソヴィエト時代から踏襲されたウクライナ官僚や法人のピンハネなども減ると期待される。(了)



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