安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ガザ停戦にモメンタム
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〈 2009年 1月 15日 木曜日 )


● No other choice for both Hamas and Israel
エジプトムバラクによるガザ停戦が1月7日、正式び始まってから一週間以上経過したがまだ決裂に到っていない。ハマスとイスラエル両者にとってこのカイロでの交渉が唯一、縋りつける「場」であり、これを蹴るにはレジーム瓦解を覚悟しなければならない。当事者はおろそかにできないのです。

先の国連安保の停戦決議には具体的な条件をつけない双方への勧告ですから無視しても、条件交渉の場であるエジプト案、サルコジが列強と叩き上げた停戦案をムバラクに仲介を委託したこの停戦案をおいて双方他に選択肢はない。

双方への条件の骨格はみなさまご承知ですが念のため。
ハマスに対し:▽ロケット砲や迫撃砲によるイスラエル攻撃停止の保障。▽エジプト国境から密輸される武器トンネルを閉鎖、(殆ど爆破された)国際監視団(トルコが派兵を申し出、エジプトは技術員と財政援助代表以外外国兵を拒否)。
イスラエルに対し:▽空爆停止と地上軍の撤退。▽国境の検問所を開放し、世界への扉を開く。

トンネルを通じて武器部品を持ち込み組み立てカチューシャロケットから携帯銃砲に生まれ変わる。だが同時にガザ地区に生活物資を入れる命綱であり、イスラエル側の国境主要道路数本の開放とセットでなければならない。

●停戦にモメンタム
さて当初の調停案は永続的な停戦であったが1年期限になり、昨日の情報では10日の暫定的停戦に格下げされたという。ま。これでもハマス側は受諾の意向をしめし、今日イスラエルの交渉代表Amos Giladがカイロに来る。オルメトが行ってこいと命じたからにはOKのサインと見てよい。朗報である。あとは延長しながら交渉が続くのではとの私感をもっています。ハマス壊滅など所詮ムリ、インフラを破壊しても1万から1万5千のミリタントを排除するなんて出来っこないわ。

侵攻から19日目、ガザの死者は1000人を超え半数が民間人、うち幼児と子供が300人。日増しに民間の犠牲が増えている。世論がイスラエルに反撥するのは自然の道理ですね。イスラエル側はたった13人、うち3人が民間人である。
居ても立ってもいられない国連のバン・キムーンがムバラクを皮切りに中東首長を歴訪し、当地の外相も欧州から中東を歴訪し停戦を説いて回っております。実際に役に立つかこの際は無粋に問わず、親身にケアする態度表明に意義があるとしよう。

ちょっと怖いのはレバノンからまたも砲弾がとんできたこと。より怖いのはエジプトが同胞を見捨てた国境警備強化をケシカランとおもうアラブ連盟加盟国が近々クエートに参集する。ここでアラブ世論におもねったハマス擁護とイスラエル批判で一致すると停戦案をブっ壊す惧れがある。逆にビン・ラーデン久方ぶりのテープはちっとも怖くない。内容がちと具体的列挙が多く瞑想風ゲキが弱い。つまりビンラーデンらしさがなく声も違うとおもった。

ご参考まで:3時間の停戦回廊はほぼ隔日行われ、昨日は衣料品/食料を満載した110台のトラック輸送が行われ。エジプト側からも医療団と救急車数台を送り込んでいる。パレスチナ西岸では壁を張り巡らされたものイスラエルとの経済交流で生活は一段とよくなった。ガザは頭熱足寒、ファタハは頭寒足熱なのである(了)



Pnorama Box制作委員会

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