安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
ガザ攻撃に口を閉ざすオバマ
------------------------------------------
〈 2009年 1月 5日 月曜日 )


●恒例土曜日、オバマの新年声明
恒例土曜日、1月3日のオバマ−ラジオ演説は新年メッセージとなるもの。中味はRRP(Recovery and Reinvestment Plan)と化粧なおしした「アメリカ経済回復と再投資計画」についてでした。これまでオバマが打ち出した経済政策、公共投資で300万人の雇用創出、その80%は民間で創出する、95%のアメリカ人に減税、といった骨格になんら変化はない。が、「手をこまねいていると失業率は二桁になりかねない」など、景気後退への認識がよりシリアスになった発言がみられる。

●気に障るキザな言い方
でもこういう話法にわたしキっとなるのです:「今日われわれが直面する問題は共和党でも民主党でもないところに達した。子供をカレッジに進ませ、家を維持し、尊厳と安定ある引退生活を得ることに政党もイデオロギーもない」。However we got here, the problems we face today are not Democratic problems or Republican problems. The dreams of putting a child through college, or staying in your home, or retiring with dignity and security know no boundaries of party or ideology.

気に障りませんか?わざわざ万民共通の願いに政党とイデオロギーに言及して聴衆に感銘を与えようとする。キザだ。自分だけいいところをかすめ取ろうとするようでわたしはゴメンだな。人をバカにし民をタメにするするレトリックである。

●汚点にテフロン加工
行き先が詰まって重要度が落ちる商務長官に落ち着いたリチャードソン知事が地元の企業が警察の手入れを受けているという理由で辞退した。州政府が問題の企業に融資が決まる直前にリチャードソンに献金があったという。十分クサい。しかし、オバマの痛手にならないのが人気絶頂オバマたるゆえん、やんぬるかな。イリノイ州の上院議員席はまだゴタツイテいるが、これだってオバマに影を落とさないですからね。

本題にはいります。
●オバマ黙して語らず
イスラエル地上軍がガザ地区に侵攻、全区を北と南に寸断したうえ、ガザ市を包囲した。民間の犠牲がうなぎ上りに増える状況にブレアが、メドヴェーデフが、サルコジがその他次官クラスや国際医療機関が調停に動きだした。特にブラウンの『人道やモラルはこの際あと回しにしてとにかく停戦を話し合え』との言やよし。

この問題でオバマはウンともスンとも言わない。ビッグスリー救済、ムンバイテロではパキスタンとインドに自重を促し、外交問題に自由に発言して差し支えない。ブッシュは止めやしません。それなのに都合の悪いときになると『大統領はひとり』持ち出して口を閉ざすのはいかがなものか。

●オバマチームに箝口令
オバマは選挙中に欧州を歴訪、ブラウン、サルコジ、メルケルと世界情勢を話し合い、ベルリンでケネディに模したスピーチまでしておきながら、いま口を閉ざすのは賢明ですか? 意見を言わないことはつまり、ブッシュ、ライス、昨日はチェイニーがTVで喋っていたように、ガザ攻撃はハマスの責任、イスラエルのミッション完了を待つスタンスを承諾していることを示す。米国民の過半数が『ハマスの責任』論に同調しているのでオバマとしては黙っている方が得策にちがいない。だが白か黒か灰色でもよい、ショウ・ザ・フラッグ!

ヒラリー次期国務長官も黙ったまま、いつもなら率先して意見を述べるビル・クリントンも黙っている。バイデン、エマニュエルほかオバマチームはガザ侵攻に唖のように黙している。今後の政治活動に一札取られたビルにも箝口令が適用されたか。(了)



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る