安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イスラエル地上軍ガザへ侵入
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〈 2009年 1月 4日 日曜日 )


●地雷除去のツユ払いから
ガザ空爆8日目(土)、夜の帳がおりる頃イスラエル地上軍のガザ侵攻がはじまり、ハマス潰しは新局面を迎えた。この日のガザは好天にめぐまれ見通しがよい。イスラエル空軍と海から海軍がこの数日間では多めの40目標を攻撃し、夜の地上軍侵攻に繋げた。夜は意外と寒く9℃以下までさがる。迎え撃つハマス武装兵が着膨れしているわけだ。(注・イスラエルはINCURSION侵入と呼び、INVASION侵攻と認めず)

イスラエルの戦果は逐次報告されるが、侵攻規模は報告されていない。がおもったほど大規模ではなく、境界沿いにハマスが仕掛けた地雷や爆発物を除去するのが主目的。報道ではせいぜい一個師団が国境沿いに激しい砲撃を加えている。待機している総勢1万のうち、大部分の歩兵、戦車、砲兵隊、工兵隊を漸次投入してハマスのインフラを壊滅する作戦である。侵攻とともにハマス武装兵の迎撃があるが、これもスポラディックのようだ。

●ハマスのイスラエル兵捕獲作戦
当然ですが、ハマスは民家に散らばってゲリラ戦をとる。2000年、西岸では路地に誘い込んだイスラエル兵十数人を周囲から一斉射撃を加え全滅させた記念すべき戦いがある。今回ハマスはイスラエル兵を生け捕りにして、停戦協議の強いカードにしたい。ほかにカードはないのだから。で、イスラエルはそういう目に遭わないよう石橋を叩いてわたる慎重さと、深入りしないで早々にミッション完了する兼ね合いが難しい。ブッシュにはどのように伝えているのだろうか、バラク国防省の発言から推測するとイスラエルはすくなくとも一週間は撤退しないだろう。停戦交渉開始にOKするのは早くて一週間後、とおもう。

●停戦交渉の相手はハマスそれともファタハPA?
新局面を迎えて、停戦の圧力が一段と強くなった。国連緊急安保理事会がこれを書いているちょうどいま開かれているが、月曜日にサルコジがエルサレムに飛んでオルメトとパレスチナ自治政府のアッバスと会談、その足で国連に赴くという。サルコジさんのやることはわたしよう判らんのですが、エールをおくります。

停戦で一番困難な件はハマスと停戦交渉することはハマスに正統性を与えるとしてイスラエルが拒絶している故にアッバス(ファタハ)と交渉するというが、それでは当事者たるハマスが認める道理がない。空爆初日にアッバスとシャマルが共闘を打ち出したが翌日には解消の有様だ。アッバスの西岸ではガザ侵攻のデモを7日まで禁じていた。

●クリーン潔癖すぎる指導者は過激に走る
ひとつ以前から疑問におもうことがある。総選挙でハマスが第一党に躍進したのはハマスが汚職にまみれず社会福祉に力を入れていたからである。決して過激ミリタントを擁するからでなかった。アラファトの不正閣僚と役人をそのまま受け継いだファタハのアッバス(唯一クリーンだった能無しの古参)では負けて当然。ただ腑に落ちないのは穏健だったハマスのハニヤ初代首相が過激派に変心した事、ダマスカスにいる硬派の在外政治指導者のメシャルがハマスの対外関係を仕切っていることである。どうも潔癖すぎる政治家は過激になるキライがある。ハマスが完全掌握してからのガザは恐慌政治といえるほど軍事独裁化が進んだ。ガザ市民に反撥はないのか、第3次インティファーダはハマスに対抗する市民蜂起であってしかるべきとわたしはおもう。

●その他、覚えがき:
▽ 2日、外国籍を持つガザ住民とその家族に検問所を開放、400人ほどが脱出する。
▽ イスラエル予備役招集を6500人から1万人に追徴。
▽南北幹線道路の3カ所を爆撃、隣接地域への移動を阻む。
▽ 3日に現在、ハマス幹部3名を殺害。
▽初めて礼拝中のモスクを爆撃、礼拝に集まった200人のうち13人が死亡。イスラエル側の攻撃理由はモスクが弾薬貯蔵に使用されているため。
▽ ガザの民間犠牲者:国連は25%、イスラエルは20%と発表。
▽ ヒズボラがイスラエル国境に集結する様子はない。イスラエルは監視態勢を強化。
▽ ロンドンで1万人規模のイスラエル軍事行動に反対するデモ。英政府が無視できないほどに。
▽ イスラエル大統領2月選挙の予想はネタニエフ、リヴィニを抜いて3番手だったバラク国防相が上昇中。
▽ イスラエルは06年のレバノン侵攻で多用したクラスター爆弾を未使用。昨年の使用禁止条約成立が不参加国の米中露、イスラエルなどにも実質有効であることを立証した。(了)



Pnorama Box制作委員会

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