安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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逃げ場のないガザの住人
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〈 2009年 1月 2日 金曜日 )


●2009年元日の空爆
元旦、イスラエルは6日連続でガザ空爆をおこなった。攻撃目標は20カ所、初日の170カ所大規模攻撃に比べると日増しに少なくなっている。空爆のミッションはハマス関連施設を壊滅すること、潰し残しをほぼ空爆し終えるのがいつになるか、連続空爆は10日が限度と常軌を信頼すればあと2-3日だろう。その次は地上大規模部隊の侵攻が予定されている。

地上部隊数千人が戦車を押し立てて侵攻するが、占領統治に戻るつもりはない。短期間で撤退するという。レバノン侵攻がずるずると長引き全面戦争に発展した失敗の二の舞はゴメンだ。ハマスの施設や建物、地下壕、40本破壊したといわれるエジプトへの地下トンネルなどを目視で確実にするのが地上作戦だが、わたしはこの地上侵攻が実際に行われるか半信半疑です。レバノン国境のイスラエル兵はガザ国境に移ったので北のレバノン国境はヒズボラの攻撃にガラ隙です。ヒズボラ指導者ナスララの言動から察するとやりかねませんからね。

●民間犠牲を強いるハマス
ハマスの施設、拠点が市民を楯に民間の建物を利用していることは良く知られている。レバノンでは首都ベイルートの民間ビルにヒズボラ拠点が雑居しているのと同じだ。これまでは軍関係の要人を殺害しても政治部門のメンバーは攻撃から外しており、軍の幹部たちは家を出て隠れている。一月一日の早朝空爆で殺されたNizar Rayan は軍職ではなかったが武装派に関わりがあり以前から狙われていた。家族との自宅を離れないと豪語したため1トンの爆弾で自宅を瓦礫にされ家族数人を道ずれに……愚行ではないか。

●サルコジ、スタンドプレーならず
停戦の圧力が次第に強くなってきた。イスラエルはハマス潰しの作戦が完了と認めるまでは停戦に応じない。これははっきりしている。ライス長官はこのところ電話にへばりついて関係者と落としどころを探っている。一方、EU議長国のサルコジは例のごとく早駆けで48時間停戦(人道物資を運ぶ)をイスラエルに要請し、すぐ断られたがパリに呼ばれたリヴィニ外相はサルコジの顔をたてて会談に応じた。各国外相の停戦呼びかけに切り返してきたリヴィニはサルコジに一歩も譲らなかったもよう。記者会見で「ガザ地区に人道上の問題はない。サルコジ大統領は状況を理解した」と。サルコジのスタンドプレーがこけた瞬間でしたな。

●イスラエルの知られざる人道措置
オルメト首相が何度も口にする「ガザ一般市民には『絹の手』で、ハマス・ミリタントには『鉄の手』で」という言葉がある。ウソつけとばかり、ジャーナリストは取り上げないが、人道上の物資はガザへ医療物資と食料を積んだトラックを28日には23台、29日には63台、30日には100台送りこんだほか、医療機器が配備されている救急車10台をガザ地区に提供した。またアメリカの医師・看護士16人のヴォランティアが医療物資を携えて船でガザに入った。

●オバマ就任前に停戦の道筋
もちろんこれで十分とはいえず、やはり人道支援の聖域通路といった措置は必要だろう。攻撃がいつまで続くか、イスラエルはオバマ政権が発足するまでに停戦への道筋をつけるはず。民間人の死者がおおよそ12%、けが人が20%という数字を許容内(イスラエル)とするか、残念と注意するか(欧米政府、エジプト、ヨルダン)無差別殺戮と非難するか(イラン、シリア、レバノン、トルコなど)差がありすぎるのが中東紛争解決を厄介にする。

ハマスはカッサムロケットに加えて射程30キロのロシア製のグラッド・ミサイルを使うようになった。イスラエルでガザ境界から20キロの住人を退去させたが安心できません。(続く)



Pnorama Box制作委員会

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