安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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『常識に欠ける最近の老人』、ある医師の反論
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〈 2008年 12月 13日 土曜日 )


前書き:9日のコラム、【麻生失言は概ね良性】に>「医師は社会的常識がかなり欠落している人が多い」。これは文句なく賛成。< とのべました。それに対して医師の方からとても興味ある反論をいただきました。もったいないのでご本人の了解を得て一部ここに転載したします。

●非常識な患者
医師として働いてますと、最近のご老人もずいぶんと常識が無くなってきたようにお見受けいたします。
診療を受けたのに、お金を払わないとごねるなんてのは、かわいい方でして
おタバコをたんまりとお吸いになって肺気腫になってしまい、酸素を吸わないと地獄の苦しみを味わうようなお体になったのにそれでもなお、酸素を吸いながらおタバコに火をつけて、大やけどを負った方もいらっしゃいました。
その方、命が危ない状態でICUに入ったくらいですのに、やけどが一段落して一般病棟にお移りになるや、またタバコをすって居られました。そして、私がタバコを吸い続けるならもう治療はできないと告げると、お怒りになって面罵されたあと、投書下さいまして、私は院長に呼び出されました。幸い院長は出来たお方で、叱られることもなく、おかしな患者にまともな指導をしようとしてはいけないと諭すにとどめていただきました。

また、別の患者の方は、遠くの大学病院がかかりつけだと公言されるくせに、薬だけもらいに来てやってると、救急診察室でおっしゃいます。しかも夜の11時にやってきてです。一度や二度ではなく3ヶ月から半年に一度はそうでした。薬もその大学病院で受け取ればよろしいとご助言申し上げたのですが、うるさい、若造、さっさと薬だけだせばいいんだと、これまた面罵されたので、とりあえず救急診療の規定通り土日をすごせる三日分だけ処方したところ、三十日分だせと、他の患者を診察しているところに乱入され、制止した看護師をつきとばされました。警察を呼ぼうと思ったのですが、事務が大事にしないで欲しいと勝手に警察を呼ぶのを拒否されてしまいました。残念ながらその看護師はまもなく退職されました。

私事ですが、自転車で通行していたところ、いきなり角から出てきた自動車にひかれたときも、運転手のかたは紅葉マークをつけた六十代の方でした。私が倒れたのに、その方はスマンスマンの一言で去って行かれようとしたので、呼び止めましたところ、自転車でふらふら走ってるおまえが悪いとおっしゃられましたので、警察を呼びました。最後まで謝罪の言葉らしいモノはなく、せいぜいがワシも悪かったけどあんたもふらふら走ってるのが悪いとおっしゃってくださったのがわびの言葉だったでしょうか? 決して事故現場は見通しが悪いわけでもなく、相手の真ん前を私が走っていたのですが。

●医師の犠牲を強いる旧態依然とした診療制度への逆説的批判
思い返すに、確かに労働基準法も知らずに連続三十六時間労働をやり、割増賃金もなしに目の前の命を救いたいと救急診療を行ったことは、常識のない行為でした。
医局などという実体のないものの命令で、引っ越し代も自己負担で僻地に赴いて診療を行ったことも、常識のない行為でした。
救急車を複数台受け入れるような真似も、常識に反しておりますし、家庭サービスの最中に病院に呼び出されて診療を行ったのも常識外れでした。
生活保護も金持ちも一律同じように扱ったのも常識外れですし、薬を飲んでいないのは明らかなのに、薬を下さいと言いつのる患者さんに処方を続けたことも常識外れでした。
仏滅の退院が嫌だといった方の入院を伸ばしたことも常識外れですし、自らの子供が入院して緊急手術になったときも、付き添ってやれずに、患者の診療にあたったことは、人の道に外れた常識外れであったと思います。

今は、私も救急を止め、僻地を去り、変な方の診療をすぐにやめることができる職場に変わり、子供の二回目の手術にはちゃんと付き添うことができました。
常識というものは、非常に大事だと痛感しております。
前にいた僻地の病院も医師がかなり減少し、困っているようですが、常識的でない病院はつぶれてしかるべきだろうと思います。
            
市井の医師 より



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