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膨らむオバマの景気浮揚策
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〈 2008年 11月 24日 月曜日 )
● サマーズ元財務長官、NEC議長へ
財務長官がガイトナーにまわったあと、サマーズの行き先はFed議長という観測がつよかった。が結局、NEC(National Economic Council 国家経済会議)議長に就任。即ち、経済問題担当特別補佐官である。経済アドバイザーのトップではあるが、重用されるかどうか、WHの経済ミーティングでオバマが若いガイトナーとサマーズどちらの意見に傾くか、現在進行中の経済再建案はサマーズの色が濃いのですが。 クルーグマンが"The future of Depression Economics"をこのほど出版、クライシス対策としてルーズベルトのニューディールに倣ったオバマの経済政策を正しい方向、公共投資が答えとオバマ支持。但しもっと大きな財政投資が必要という意見。http://www.abcnews.go.com/ から23日のGood Morning America にあります。 わたしは懐疑的。財政赤字が膨らむばかりに、恩恵は一部業界にかぎられ、2年で250万人の新雇用が見込めるほど活気がでる。ホント? できすぎたお噺しだ。経済危機は一度収縮の行き着くところまでいかないと跳ね返らない、というのが経済理論に無知なわたしの持論。その間、政府は失業家庭の面倒を夜逃げしなくてもよい程度に助けてくれればヨシとおもっている。 ●1750億ドルから5000〜7000億ドルへ オバマの経済顧問団は、当初3000億ドルを上限とした景気浮揚策を考えていたが、5000〜7000億ドルを上申している。これはGDPの4〜5%にあたる。オバマが選挙中に示した額は1750億ドルでしたから100年に一度の未曾有なディプレッションと謂われていたものの、10月に急落するまでは比較的に楽観していたのですね。 用途は前回も書いた公共建設などインフラ整備、代替エネルギー開発、環境投資、失業手当の期間をさらに延長、地方自治体支援など。95%の労働者にTAXカットの公約もある。問題はリバウンドせずに財政赤字が増えること。「景気浮揚にお金をつぎ込むことはアル中患者に酒を飲ますようなもの」と唾棄した共和党議員に、同意はともかく拍手します。 ●財務省VS NEC(国家経済会議) ブッシュはNSC(国家安全保障会議)をライス、ゲーツ、ペトレイアス等と定期的に開いていたが、経済政策は市場任せにしてきたのでNECの会議はあまり知られていない。ブッシュのNEC議長が誰か、キース・ヘネシーという人。バーナンキ、ポールソンを従えてブッシュが金融救済の声明を出すときいつもハジッコに居た人ですが影の薄い人だった。だが、ラリー・サマーズは隅に置けない。要職である。大組織の財務省と大物を得た少人数のNECが角つき合わさないとも限らない。 ●大統領イメージを自作自演するオバマ 国務長官を望んだビル・リチャードソンは商務長官でもよいとのことで承諾。オバマはヒラリー、バイデン、リチャードソンと指名争いの3人を取り込んでしまった。ベストの人材を配置することでオバマは指導力、統率力絶大の大統領地位を作り上げたといえよう。人事掌握と組織力の優れた才能は組閣でも証明されつつある。だが窮屈な感じがするんだなあ。完璧な態勢ほど一角が崩れると脆い。(了)
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