安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ビッグ3救済、オバマ失政のはじまり
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〈 2008年 11月 20日 木曜日 )


●公聴会のビッグ3
下院が提出した米自動車産業へTARPから250億ドルの流用支援について、18日上院銀行委員会でビッグ3のCEOが証言するのをナマTVで見る。(全米自動車労連の委員長や、どこかの大学教授が参考意見を述べたりした部分はナマ中継なし)

GMのワゴナー、クライスラーのナルデリ、フォードのムラリーが順に証言。経営難が差し迫った企業順である。説得力もあり迫力があり、ボヤっと聞いているだけでは、そうだそうだ支援しなければたいへんなことになる。と、連れ込まれそうになりましたがなもう。この業界のボスたちはトヨタのゴーン氏もそうだが迫力がある。特にボーイングの前CEOだったムラリー氏は翌日の委員の追求や罵倒にすこしも動ぜずクール。議員さんたちより相当うわてである。頭脳明晰なビジネスリーダーの見本ですな。でも公聴会では反撥をうけます。

●自家用ジェットで支援を強要
云わんとすることは既に減産体制、解雇や自宅待機などリストラ、グリ−ン車開発など出来ることはすべてやってきた。燃料効率の良い車種にシフトしている。経営対策を怠ってきたと言われるのは心外だ。金融危機のあおりで被害を受けた。我々が破綻すれば関連産業だけで300万人が失職する。さらに取引金融機関の破産を招き、米経済に甚大な影響をもたらす。それでもよろしいか!

ナルデリは説得型で、ワゴナーと特にムラリーは高飛車な脅しです。ビッグ3が強気な理由は、先月来、オバマやその経済顧問チームとの会談で支援の約束を得ているからである。だが共和党の委員を前にチトまずい。3人ともデトロピトから自家用ジェットでワシントンに来て「やい、金だせ」では庶民感覚と甚だしく乖離しています。あの感覚は麻生首相の比ではない。だって救済するのは労働者庶民でしょ。市民の理解がえられないだろう。とはいってもブッシュ政府は、風前の灯火のGMが政権引き継ぎ間際になって破綻してもらっては困る。延命措置として妥協するのは確実だろう。

●オバマ失政のはじまり
TARP-7000億ドルの半分は用途先を決めず、オバマ政権に受け継がれる。ビッグ3の本格的な救済はオバマが実施することになるが、果たして役に立つか、また市民の理解が得られるか疑問。わたしはオバマ最初の失政になると思う。

いくらビッグ3に資金注入したって、車が売れなければあとが続かない。破産をわずかに先延ばししても意味がない。車の販売台数が1年前に戻る時代は遠い先ですから。支援を止めて、たとえばGMが潰れればビッグ2は息を吹き返すだろう。向こう2年間の回転資金を持つフォードは、GM破産を望んでいるみたいな記事がtime.comにありまし."If Congress doesn't pass an auto bailout plan, Ford could actually prosper by not failing." トヨタもおなじ想いだろう。(了)



Pnorama Box制作委員会

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