安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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秋のクラコウ
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〈 2008年 11月 17日 月曜日 )


12日から秋のクラコウでぶらぶら家内と歩いてきました。当地ベルゲンから直行便があり、3時間で行けます。時間帯も同じとあって乗客約200人の対半がベルゲン人または県下のノルウェー人で残りはポーランド人とおぼしき人々で満席。

ノルウェーの建設労働力は十数万人のポーランド人に頼っている。定職を得て家族と暮らしている者もいるが、大半は出稼ぎ組である。それがこのところの金融危機から建設業界が停滞、契約半ばで仕事がストップし、帰国する人が出始めた。そういった人も機内にいるだろう。

ノルウェーはEUとシェンゲン協定を結んでいる。したがってEU加盟国ポーランドへの入国は互いに旅券審査は不要。国内飛行とかわらない気軽さで搭乗券を持ってゲートに行けばよい。もっとも荷物検査と搭乗にパスポートを見せるが彼らは入国審査官ではない。顔写真と搭乗者名を確認するだけだ。

クラコウ、現地語ではクラクフは奈良や京都のような古い首都で、しかもベルゲンのように長い間首都であった。それだけに見るべき建造物がいっぱいある。と、来てからわかりました。先日ワルシャワの人が見物ならクラコウがよいと言った通りであります。

●苦難の歴史にアイデンティティーを守り通したポーランド
見る物があまりに多く、しかもこの都市の歴史は類をみないほどに為政者が変遷し前知識がないときわめて判りにくい。観光バスに乗ってイヤホーンで聞いてみたが時代順に史跡を巡るのではなく、景色順に歴史が挿入されるのでわかるもんですか。ローマ時代、ゴジック-バロック-ロマネスク各時代の建物とそれらの混合建築物。欧州各地、スェーデンからも迎えた国王、選挙制による国王、オーストリー統治時代、共産時代、ユダヤ人居住区の変遷、などなどポーランドはロシア、プルシャ、オーストリーに挟まれて欧州の歴史におなかでも特に複雑である。戦争に負けては支配されてきた。勝ったためしがない。

そんなところから使い古された悪いイギリスの冗談コントがある:パブで酔っぱらった男が、もうこうなったら戦争だ!と叫ぶ。『どこと戦争するつもりか』と聞かれて詰まった件の酔っぱらいがひとこと『ポーランド』。

ついでに今回教わった笑い話をひとつ。王宮のプライベート棟は決まった時間にガイドの案内で回る。ヨーロッパで唯一十字軍遠征を断ったという国王の肖像画のまえで、彼はどうしてローマの要請に従わなかったかごぞんじですか? 『ローマにはビールがない』から。なるほど、この国の国民飲料はビールとウォツカでした。

宮殿の王朝家具調度品は日本の大名家具もそうだが名工が仕上げたおそろしく凝った造りである。注文してできるまで4〜5年かかるのはザラだという。

●順不同ですが撮った写真に添って印象を書いておこう。

左・市を囲んでいた市壁が取り壊された跡はグルリと跡樹木公園になっている。ひとつ残っているフロリアン門。
右・町の中央にあるヨーロッパで最も広い市場の真ん中にある布市があった建物、中は土産物店が並びにぎわっている。中国製品がないのに感心。ここでトランクに入る木彫りのレリーフや群像を買う。ノルウェーの木彫りなら5倍はする値段。左は市議会があった塔景色がいいというのではいったが、狭くて段の高い階段を見たとたんに体重ある家内はパス。わたしも痛風が残る足でシンドイ。

左・街角,市内到るところにあるプリツェルの屋台。皮は硬めでも中は柔らかくカンパンではない。1コ1.3ズローチ(約45円)夕方店じまいする頃には売り切れる店もあるくらい。
右・夜の市場は寒くても人通りは多い。全体に照明が暗く、シルエットに浮かぶ人々の影に時代を遡った幻想を抱く。中央右の建物は聖マリア大聖堂の正面入り口。二つの塔は見えないが高さ81mと69m。横からではカメラにおさまらない壮大豪華絢爛のゴジック教会である。塔から1時間ごとにラッパの音(警報に由来する)が響く。(続く)



Pnorama Box制作委員会

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