安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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先進国マイナス成長と中国減速
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〈 2008年 11月 7日 金曜日 )


●欧州、協調金利引き下げ
イギリスが政策金利をエイヤッと一度に1.5%引き下げました。去年の今頃は7.5%あったのが3%になった。それでもロンドン市場は全面安。欧州ECBは0.5%下げて3.25%に、今年中にサイド小幅の引き下げを行う模様。けれど欧州市場は全面安。デンマークは2度の利上げから6日にも下げ戻して5%に協調利下げした。

こうしてみると日本のように限度いっぱいの低金利までエイヤッと下げるまでまだまだ余裕がある。でもなぜ左様に低金利の日本が足並みそろえて0.5%を0.3%に下げなきゃならないのか。後がない恐怖はないのだろうか。

●戦後初、先進国全体マイナス成長
IMFが来年の日米欧経済成長をそろってマイナスにした。アメリカ−0.7%、ユーロ圏−0.5%、日本−0.2%、先進国平均−0.3%。ほんの一ヶ月前には先進国+0.5%と予測したばかり、この一ヶ月で景気の先行き悪材料がいかに明瞭になったか、がわかる。最悪はイギリスで−1.3%、続いてドイツ−0.8%、スペインと米が−0.7%となっている。先進国が軒並みマイナス成長に落ち込むのは第2次世界大戦後初めてという。ということは1929年の大恐慌(暗黒の木曜日)以来ですから、やはり100年に一度の世界金融破綻にわたしもあなたも直面している。ま、個人的には実感していませんがオバマには期待しておりません。覚悟はしておりまして、この数字は納得できる。

●中国、広がる社会不安
ところで中国は下方修正されたもののIMFは8.5%の成長率。もっとも中国でいま一桁の成長率は破壊的な作用がある、とおもう。企業倒産でオウナーたちが夜逃げした。工場封鎖で給料ストップ、社員が加工場の門に押し掛けるニュース。そのひとたちに自治体が代わって給料を払い、これぞ中国版ベイルアウトか。職を失った出稼ぎ労働者でごったがえす広州駅や重慶駅の様子に深刻さを見る。旧正月のようなときならぬ帰省ラッシュがおきている。再就職はムリだろう。

●中国の所有する外貨の用途
帰省して地方で農業に励む人口が増えるため、これを機に中国は農家の所得倍増政策に資金を投入したり、鉄道や橋など公共建設にお金を使って景気のテコ入れをはかろうとしている。それはよいとして中国は溜め込んだ外貨をどう使うつもりなのか、世界金融危機に協力しようという姿勢があまりない。人権を尊ばない国は政治でも経済でも国際協力には基本的に見向きもしないものだ。北京オリンピックは国威発揚の場で、国際協力とは関係ない。

中国は「元」の切り上げ一つ見ても、金融国際協調に背を向けてきた。慣れない国際金融に手を出すよりも、資源買いあさりに取っておきたいのではないか。またエアバスや原発プラント、ボーイング787の買い付け契約を果たすためにも、中国は外貨貯蓄を取り崩さない方がよいのかもしれない。(了)



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