安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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オバマ大統領、生みの親はブッシュ
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〈 2008年 11月 6日 木曜日 )


Obama 得票数 52.4%, 選挙人349
McCain -- 46.3%,  -- 162
下院  民主党 54 共和党 40
上院   --  254 -- 173
米大統領選がおわって、今日もおもいつくまま。しだいに辛口が……。

バラク・オバマが44代アメリカ大統領に圧倒的な支持を受けて当選。言葉は悪いがボロ勝ちである(全国得票差6%については本稿では問わない。それを言えばヒラリーがオバマを凌ぎ、ゴアはブッシュに勝っていた)。開票実況はマケインが落とせないキー/ステイツであるフロリダとオハイオの結果が出た当地時間で夜中の3時前に寝る。マケイン氏ボロ負け、共和党一大事となったが、打ちひしがれる様子もない自分にオレには冷たいところがあると実感。通風で断酒中なのに良く寝ました。

●南北戦争、キング牧師暗殺からオバマまで
オバマはあと76日で、ミシェル夫人と二人の子供たちと一家でホワイトハウスに引っ越しする。おもえばアフリカ・アメリカンが差別とたたかった歴史は長かった。4年間の南北戦争を経て奴隷制度から解放されたが、キング牧師の公民権運動を経てケネディが南部諸州のアパルトヘイト法を次々禁止、公民権成立は次のジョンソンまで待たなければならなかった。あれから44年、キング牧師が暗殺されてから40年を経過して黒人大統領が生まれたわけだが、この公民権から大統領までの期間は電子技術とバイオ化学の進歩のように早い。もちろんオバマが社会的階層、人種、性別、老若のシキイを超えて民衆を動員する天賦の才を持つ人物であることに異存はない。

●だが、人種融和を押し進めた最大の功労者は、ブッシュだ。
近頃はブッシュを良く言う人は皆無、はやらないから誰も言わないが、この時期に黒人大統領が産まれた背景、環境を考えると、ブッシュ政権の積極的な有色人種採用がある。パウエル国務長官、ライス特別補佐官(後に国務長官)、ミネタ運輸長官、チャオ労働長官、グティエレス商務長官、などなど閣僚の半数がブラック、ヒスパニック、アジア系を任命した。イラクの前現地司令官はヒスパニック系(顔は浮かぶが名前はド忘れ)、現イラク大使はイラク系である。特にパウエルとライスを次期大統領候補に推す動きがなんどかあり、オバマへの伏線となった。人種を意識しないブッシュが適材適所で選んだ人事とブッシュに対する絶望的不人気がオバマの出現に赤絨毯を敷いて迎えた。なんという皮肉だろう。

●オバマに期待は禁物
オバマ新大統領に浮かれ騒ぐ連中、オバマでこの世が変わると驚喜する連中に冷や水をかけてやりたい。温暖化で当地の氷河融解がどんどん進み、冷や水はいっぱいあるぞ。▼イラクの米兵14万人はまだまだ帰ってきません。オバマ自身がすでに早期撤退をあきらめたか時期と人数は言わなくなりました。ペトレイアスが続行します。▼オバマは外交も経済もわからない。やはり経済オンチのマケインを相手に討論で優位にたったが、アドバイザーたちのレクチャーを口上手に喋っただけだ。財務長官に投資家のバフェットが最有力、ルービンとサマーズの再起用も消えていない。▼とはいうもののブッシュの7000億ドル救済案で余分な財源はなし、国民の95%に減税を約束していますから、7000億ドルの使い道をいじくるくらいしかない。撤退して戦費を回す件も駄目でオバマはこれも言わなくなった。

ケニアの子供たちはアメリカに留学できると皆本気で思っている。それほどではないがブラウン、サルコジ、メラケルはじめブッシュ嫌いの旧欧州と北欧は民主党オバマに新鮮な好印象を持っている。しかしアフガニスタン増派要請に応じないだろう。オバマはイスラエルがイランの核施設を爆撃するのを許可しない。一つ確実に言えることはイランが核開発を続行すること。また経済制裁はやりすぎるとイランがイラクの米軍基地にミサイルで先 制攻撃する危険がある。

主席補佐官(chief of staff)についてはシカゴの友人マニュエル下院議員がノーと言わなければ決まり。読売のニュース参照。ただこの人は下院議長を目指しているのでオバマの要請に煩悶の日々という。http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20081106-OYT1T00067.htm

ヒラリーの処遇は?これが問題。お世話になりましたからね。いうまでもなく保険・社会福祉相が適任なのですが、ツヨイ人ですからケムたい存在だ。最高裁判事に押し込むウワサは本当かもしれない。ヒラリーは、地位はあっても政治的な窓際族で満足するだろうか。

ペイリンはどこへ 敗北の将マケインが優雅に語るよこでペイリンは泣き顔でした。共和党の一匹狼マケインと新人ペイリンの敗北によって共和党の結束は崩壊といかないまでもヒビ割れを修復する作業が始まる。ペイリンはしばらくお呼びでないだろうが、オバマの人気が落ちるとまた復活する余地はある。これで一巻の終わりとするには惜しいタマではありませんか。

日米の同盟関係は維持されるが、経済や自衛隊のことで的外れな要請・注文がきそうだ。日本は米の意向に遠慮しない独自の外交を推進するよい機会です。世界の景気後退、失業率増加はさけられない状況にあって、企業の倒産、リストラ、派遣パートなど、空白の10年で経験した日本は比較的冷静に世界をモニターし対処できるだろうとおもう。(了)



Pnorama Box制作委員会

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