安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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一段と進むロシア企業の国家管理
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〈 2008年 10月 26日 日曜日 )


●ウクライナ、IMF融資に合意
ウクライナはロシアに援助を仰ぐティモシェンコ首相とIMFの融資に積極的だったユーシェンコ大統領のケンカで遅れていたが、IMFがウクライナに2年間で165億ドル融資することで暫定合意した。 本来ならロシアが支援してウクライナを親ロシア国家に呼び戻そうとするところだが、ロシア経済がおもわしくない。ロシアの金づる「原油」の値段が7月の最高値から半分に60/1bドルを切った。

●石油価格暴落と勧善懲悪
中東やロシアの原油生産は1バレル30ドルあれば利益は出る、とわたしはおもうが、贅沢な産業構造に慣れてきたので業績が悪化、金融危機の西側から資金繰りができなくなり、状況は欧州より深刻だ。サウジも例外ではない。蛮勇チャベスも出す手がない。景気後退には石油安という勧善懲悪がおまけにあるのだ。「どうだ、少しは懲りたか」そんな気持ち。

●一段と進むロシア企業の国家管理
それにしてもロシアはこの経済危機に乗じて中核企業の国営化が進んでいる。プーチンが国営化したガスと石油の最大手ガスプロムとロスチネフ2社と、政府資金が入っているルクオイル、BPの法人TNK-BPが政府に融資を願い出た。ロスチネフは国営化される公算がつよい。

木曜日にドゥマ(ロシアの国会にあたる)が銀行救済に185億ドルを拠出をスピード可決した。国民預金の1/4がすでに国営のSberbankが握っているが、吸収される民間銀行があるかもしれない。

ロシア政府は総額2100億ドル(5000億ルーブル)の救済プランを既に打ち出している。政府系への吸収と政府規制の動きはロシア国民の支持を受けていることから全体主義への傾向はますます強まるだろう。ライス長官やEUが批判する民主化後退をあざ笑うように……。

●グルジアに寄せられた多額の支援
ロイター通信によると45億ドルの復興支援が世界各国から集まったという。ローンと返済ナシもあります。サーカシビリの予想を超えた支援金に、この男また誤解するんじゃないかと私的には苦々しい限りだ。大口は米10億ドル、EU6.4億ドル、日本2億ドル。ロシア軍攻撃の被害修復に国連がはじき出した額は32億5000万ドルですから、おつりがくる。ロシアと欧州を結ぶパイプラインがグルジアを通っていなければ起こりえない西側支援である。なお、IMFは先月、7億5千万ドルを金融機関の救済に融資した。

●南オセチア新首相を任命したプーチンの狙い
南オセチア首相にロシアが任命したのは元KGB出身でロシア連邦北オセチア共和国の税務所長です。南オセチア政府は殆どロシア化されていて、グルジアが独立してこのかた、政府がこの地域を支配したことはない。西側は無法地帯と呼んでいたが、ロシア側から見ればロシア人が住む治安のよい地域でした。したがってグルジアが黙認することは驚くにあたらない。新首相任命は戦争の開始前にプーチンが指名した南オセチア大統領人事に続くプーチン人事である。南北オセチア統一への布石とみた。(了)



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