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パウエル ドクトリン
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〈 2008年 10月 22日 水曜日 )
●慎重まじめ人間 コリン・パウエル
慎重に大勢が決まるまで見極め、安定した勢力側に身を置き与えられた場でガマン強く仕事を熱心にこなす。そうやって共和党の牙城・軍のトップに上り詰め、歴代共和党大統領に仕えたパウエルの遊泳術をパウエル・ドクトリンという。別に氏の「自戒13か条」を指すばあいもあり、湾岸戦争での慎重な戦いぶりや「軍事介入の3原則」をパウエル・ドクトリンと呼ぶ場合もあるが、私的には失敗なく石橋を叩いて渡る慎重さのこととよい意味で解釈している。決して寄らば大樹の陰ではない。 パウエル前国務長官は国際的に受けがよく、欧州では嫌われたブッシュ政権にあってパウエルさんだけは特別に信認されていた。穏健で安定しているからです。アメリカでも民主・共和双方から尊敬される良識人である。先の日曜日、大統領選まで二週間になろうという頃になってオバマ支持を表明したとき、さして影響なかろうと思っていたらそうでもなかった。マケインとの差が縮むかに見えた先週末、パウエル発言の翌月曜日には再び8ポイントの差がつきました。これはパウエル効果とみてよい。 ま、しかし影響はそこまで、火曜日には50-43%で7ポイント差に戻ったので、パウエルの遅れてきたendorsement効果は一過性、オバマ陣営はぬか喜びにおわりました。 ●誠実なパウエルの言葉 さて、CBS朝の番組におけるオバマ支持発言ととその後のパウエル・ドクトリンの良識ぶりを示す言葉にすこし心動かされたものですから書いておきたい。数日前のことで氏の言葉通り覚えていません。要旨を「」のなかに、残りは私的コメントです。 ▼「イラク戦争を避けるためブッシュ大統領と共に国連制裁決議に全力を注いだが、できなかった。ブッシュ開戦の決断に賛成した。そのことを否定したことは一度もない」。国連失敗は中ロの反対であったことに口をつぐみ、開戦に賛成した事実を曲げない。イラク侵攻の成功とその後の治安対策がなかったことを誰のせいとも言わない。ドクトリン3原則のひとつ大量の地上軍を投入する持論が受け入れられなかったこと、それがいまペトレイアスによって成功したとも言わない。自慢話をしない希有な政治家であり、模範的軍人である。 ▼「オバマ上院議員は大統領としての資質、内実に優れ、問題に対して冷静で知的な対応を証明した。新世代への橋渡しとなる大統領である」パウエルはオバマ政策の賛否をのべていない。 親友マケインとの関係に変化はないとしながらも「VP資格のないペイリンを選んだのは誤り、落胆した」と、パウエルの苦々しさは解らないでももない。 ▼「共和党員でいながら大統領に民主党候補を選ぶことがあってもよい。アメリカのためを第一義とせよ」これは別の経済政策に期待する忠実な共和党支持者への優しいことば。 ▼「オバマがムスリムであるとかテロリストであるとか出鱈目な中傷があまりにも嘆かわしい。あってはならないことだ」とここは本気に怒ってましたな(了) 余談:ギャラップの国際調査では4−1で圧倒的にオバマ支持、マケインを支持が上回ったのはグルジアとフィリピンだけという結果が出ました。世の論調に抗して明日は再びブッシュの力量と頑張れペイリンに口泡をとばそう。
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