安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
嬉しさも中ぐらいなり救済案
------------------------------------------
〈 2008年 10月 4日 土曜日 )


●Bailout 101
下院再度の投票は263ム171で余裕をもって可決、すでにブッシュの署名がおわりポールソン/財務省が実施する。めでたしめでたしですが市場は反応しませんねー。しかしもし否決されていたら暴落を見たかも、不平をいうまい。クルーグマンが可決前の3日、NYTのコラムに現状を『奈落の淵』と呼んだ。救済条項の可決によって、やや淵から後じさりできたのではないか。

信用クランチの余波がメインストリームのあちこち全方位的に現れてきてしまったので、可決という前景気だけでは前に進まないようです。景気が持ち直してくるのは米銀行金融機関の不良資産切り離しが終わったあとでしょう。長丁場です。あと一ヶ月で新大統領がきまるがブッシュの人気は後4ヶ月ある。

モノが売れない、レストランに客が来ない。お金を貸してくれない。借金の督促状が頻繁になった。9月の失業率は愕然と6%になり、米の会社年金は債券運用で固定支給ではない。今年退職する人は雀の涙になりそうだ。

●フィヨルドにも忍び寄る不況の波
家内が不良債権を溜め込んでいるノルウェー最大の銀行DnBにヘソクリがあって、どうしようかという私事を以前かきました。この銀行の株価が昨日ののニュースで30%減ったという。中央銀行が融資額をウンと増やす措置をとりましたが、どこの国とも同じように銀行はなかなか融資をうけようとしない。銀行間に流通すべきお金が全回らないわけだ。で、銀行は確実な市民の預金を増やそうとしますね。14日から預金利子を上げる通知がきた。日本円にして1000万円まで→1.25%、2000万円まで→1.85%、2000万以上→4.05%。うちは幸い借金がないので通知はないが借入金の利息も当然上がったはずだ。当地ベルゲンでは資金繰りに困って給料を払えない会社が出てきた。ユーロが下落、本日はEU首脳がパリに集まって金融危機打開策を討議する。とまあ、静かなフィヨルドの地にも信用収縮の影響が顕著に現れています。

●余談、先日の国際会議より
その1、各国の労賃
で「世界の労賃比較」というスライドがあり、ドル安に触れる前の時給はノルウェーが41.3ドルでトップ、上位は北欧勢、ドイツ、カナダ、スイスなど9位の米が23.6ドル、日本は20.6ドルで10位、11位韓国の14.6ドル。注目は僅か1.2ドルの中国、0.6ドルのインドが世界の経済を動かす力を持っている驚くべきアンバランス。

その2、大金
金融救済案7000億ドル、1948年のマーシャル計画が1000億ドル、世界の国家基金計3兆ドル。

その3、メラミン混入
アジアからの講演者が話したエピソード。EUが養殖魚の抗生物質残留量をゼロにする規則(Zero Tolerance)を2002年に成立し、合格しない魚の輸入を禁止した。が、翌03年に残留許容値を0.3ppbと改訂。なぜか、精密に検査するとEU加盟国で生産された養殖魚すべてに0.3ppbが含まれていたためゼロ値を要求できなくなったからだ。と、EUを批判。返す刀で「粉末牛乳の殆どすべてにメラミンが含まれている。メラミンも健康に無害なごく少量は認めろ」。会場がしらける。実際は各国数値は異なるが牛乳1mg/kgや菓子類2.5mg/kgといった安全許容値があるらしいが、消費者グループはゼロ残留量を要求する。(了)



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る