安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ネジレ討論、バイデン圧勝/ペイリン復活
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〈 2008年 10月 4日 土曜日 )


●討論ではバイデン圧勝
セントルイスでの対決は、ペイリンがバイデンに圧倒されてどぎまぎ、じたばた。四苦八苦するんじゃないかと、ヒヤヒヤしていた共和党支持者には褒めてあげたいパフォーマンスでした。逆に、バイデンに突っ込まれてしどろもどろになるところを待ち受けていた向きには期待はずれでした。この数週間、失言や無知な醜態をメディアからからかわれ、共和党支持者からも疑問視されたペイリンが、一ヶ月前の党大会で大受けしたデビューの調子を取り戻した感じがする。

とはいえ、討論はバイデンの圧勝。共和党支持者でも認めないわけにはいかないだろう。わたしはじまって1時間ぐらいでウトウトして後の30分を見ていない。山場がなくちょっと退屈な討論でした。

●答えをはぐらかす、ホッケー・ママ
ペイリンはこの日のためにマケインのアドバイザーとスピーチ訓練をしていた成果がよく見えた。覚えは早いひとですね。しかし司会役のグェン・アイフィル(Gwen Ifill)の問いに直接答えない、答えになっていないケースが多い。たとえば、副大統領の地位についてチェイニーが『副大統領は行政府の完全な支配を受けない、立法府の議員でもある』と発言した件で、どう思うかという問いに「建国の父たちは副大統領の地位について賢明にもとても融通のきく憲法を作ってくれました。チェイニーの柔軟な理解に賛成します」。玄妙な答えは我慢するとしてそのあと、市長と知事時代の経験を長々と披露するのだな。そんな風に持ち時間を喋りつづける。TVカメラをしっかり見据え目を輝かし、ウインクしたり、どこかのコメントで快活でかっこいい「チアガール」、との評がありましたが、納得。また普段の会話風に話すのがわたしには気に障る。ま、ヒラリーやペロシみたいないかにも上院議員らしい話し方も好きではないが。

●バイデンのおもいやり?
バイデンの方にも間違いは多々あったようで、これは発言の真偽を解説するオタク用のサイトがいくつかある。そこまで取り上げませんが、バイデンはペイリンを攻撃しなかった。バッサリ弾劾する批判の矛先はマケイン+ブッシュである。ペイリンの攻撃的発言、たとえばオバマ+バイデンのイラク撤退日程を作成する主張を「白旗を掲げるようなもの」と切り捨てたとき、バイデンは顔がはじけるように笑った。あくまで柔和な政界長老の姿勢を崩さず、目が据わる場面もなかった。

討論相手を軽く見ていたのは経験からして当然だが、バイデンが斯様に鷹揚で寛容な面を論敵にみせるとは思わなかった。新人ペイリンへの「いたわり」か、それとも「傲慢」?長老の風格を示すため? わたしは怪訝なのですが、視聴者のバイデン株は確実にあがった。CNNライブ画面の下に無党派層の反応が波線で出る。一州のごく一部の反応だが、バイデンのスピーチ中、特にイラクと経済では何度も上限を横滑りした。

●ペイリン、試験に合格
拍手の音に目を覚ますと討論が終わって家族が総出している。学期末試験が予想より良く書けた中学生のように嬉々として会場自派席に手を挙げ握手している。支持者とマケインに面目が立った。今夜はお祝い、よかったね。

さてこの討論はバイデンが圧勝し、ペイリンが復活するというねじれた結果になった。おそらく選挙動向には殆ど影響ないだろう。決戦を後一ヶ月にひかえてマケインがモメンタムを奪還する望みは消えたかにみえる。(了)



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