安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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米、草の根 健在
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〈 2008年 10月 2日 木曜日 )


● 自己憐憫、あとは野となれ山となれ
29日からスタヴァンゲルで行われた国際会議の通訳を頼まれ、恥をかいてきました。会議は23カ国から500人近い出席者、2日間で20の講演があり当地の漁業大臣も持続可能な漁業について講演した。仕事は日本からの出席者に英語スピーチから日本語への同時通訳という。会場へ行ってみると、日本人通訳がくるという知らせがなかったようで、準備もしていなかった。で、初日の昼休みまでは後ろに座って両側の二人にはボソボソと要所要所を伝える。これならできる。

昼休みに約束通りAV担当主任がイアフォーンを必要数そろえて持ってきてくれる。わたしは入場禁止の上階ギャラリーの最前列で、設置されたマイクと机を前に、同時通訳にあたる。通常は前もって草稿をもらい、準備したうえでワンスピーチを受け持つ。国連議会の同時通訳もそうやってやるのに、ここは資料無しでブッ通しだ。イチカパチか。ヒドイ結果になりまして内心、自己憐憫に落ちました。

会議は業者の実際的な技術フォーラムではなく、水産養殖業界への金融・経済、バイオ研究機関や政府の施策といった内容で、特に遺伝子組み換え改良種の過程屋やバイオ科学の世界になるとムズカシイ。内容がわからないと詰まります。そういうのが連鎖反応してしばらく沈黙したことが何度もあった。それでも特に苦情が出なかったので、悪条件をご理解いただけたのか、なんとか2日目も終えて月曜日夕に帰宅。後は野となれ山となれです。

●下院保守派造反
共和党下院が否決したニュースは、会議の前日夜遅くホテルのTVで見る。ビックラ仰天、その夜は繰り返しニュースを見る。そのうえ明日からの仕事に悪い予感がして、まんじりと熟睡できなかった。こんなことは何十年も経験したことがない。根は小人なのだ。

案の定、会議のスピーカーたちは米金融安定化政策/下院否決と株価暴落、欧州5銀行が破綻助けを求める事態になった昨日の事件をはさみます。今年、世界で計20の投資銀行/商業銀行が今年破綻したという。ここで持ち時間を費やすと本論を早口で飛ばしちゃう。スライドは10秒くらいでパッパと送るわ、しかも遠くから文字が見えづらい。通訳がついていけますかいなもう。グローバルな農水産業界を専門的に投資しているグループのアナリストが今回の危機をアドリブで論評、長期的視野に立つと意外に冷静になれるものですね。

●草の根、健在
思えばアメリカ人の過半数が賛成しない評判悪い公的資金によるウォール街救済だ。と、知っていても、合意に達したと両院のトップと政府が言えば、ついそれで決まるとおもってしまうわな。浅はかな習性が染み付いたか自問する。さて、大いに驚きはしたが、共和党保守派議員の造反とその地元支持層にハラがたたないのはどうしたわけか。ブッシュ、オバマ、マケインをぐらつかせ、世界の金融経済界を震撼させた草の根の健在さに、アメリカン・デモクラシーを感じるわたし。根は小人だもの。

超党的に努力、通過する自信を持っていた両下院トップ、ブッシュやポールソンの落胆はいかほどか、しかし否決に回った議員を非難攻撃していない。金融救済は『物は方便』の措置であって、正義を突きつけられるとよわい。嘆願ふうな説得にならざるを得ない。オバマだけは元気よく批判的な説得演説をやりおった。今回の造反を奇貨に米のカムバックを期待する。(了)



Pnorama Box制作委員会

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