安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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米金融救済案に超党派で疑問視
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〈 2008年 9月 26日 金曜日 )


7000億ドル救済案をめぐって議会は大荒れ、マケインがすわお国の一大事とばかり選挙活動を中断してワシントンに馳せ参じる。オバマvsマケインTV討論は会場準備すべて完了した。オバマ一人が出演するの? 週明けにかけて波瀾万丈、けったいな展開を順を追って書き流します。

●両党の反発を招いた公聴会証言
公聴会2日目、バーナンキFed 議長の証言は審問議員さんへの脅しなのでしょうか、米経済の暗い様子を淡々と語っている。消費の6-7-8月と連続して落ち込み、住宅販売はやや戻したが再び厳しい冷え込みがはじまった。(私感:この2年ぐらいに新築した家なら初期の低く設定した利子払いがそろそろ上がる頃、払えなくて差し押さえになる住宅が増える。)10月からビル・オフィス建設率がさらに低下、ビジネス機器、ソフトの売れ行きが停滞する。今年度前半の貿易は拡大傾向にあったが、スロウダウンがはじまった。石油価格は最近の乱高下から予測が困難、したがってインフレについては非常に不確実でコモディティー価格の推移予測も難しい。金利カットについては当然だが言及しなかった。

ポールソンが7000億ドルの救済案は熱弁をふるったけれど、民主・共和両党ともに、ホントに効果があるのか疑いは解けなかった。そればかりか懐疑派議員が滑り出しより勢いを増した。世論調査でも米国民の60%以上が巨額救済案の効果を疑っているという結果が出ている。フレディマックとファニー・メイを政府管理下に、AIGを公金で救済したとき、これで好転すると太鼓判を押したポールソンが、なに7000億だと!よういうわ、信用できん。そこでバーナンキが上記のように『出すもん出さんやったらこうなりまっせ』とすごんで見せたのだが。

公聴会で、民主党上院議長のリードが、言葉は丁寧だが謂わんとする主旨は『ブッシュは今でも大統領だ、お前たちよりブッシュが国民に説明せよ』である。早速WHJが反応、ブッシュが特別声明を出すことになり、一寝入りして当地時間夜の3時に起きてTV声明をライブで見る。

●ブッシュ、米経済は包括的危機にある
要は超党派で早急な議会の承認を促すことで、そんなもの聞かなくたっていいのですが国民の支持をどういう風に訴え言い含めるか、説得力が試される。勉強になりますから。無味乾燥な報道では全人的印象が伝わらず、おもしろくないから勉強にならないのです。次のような本論でない箇所は、絶対ニュースに引用されない。

今夜多くのアメリカ人が自問しているでしょう:我々の経済はどうしてこんなことになってしまったのか?救済案の効果は?あなたの経済にどう影響するのか。明快な答えを要求するもっともな問いかけです。 I know many Americans have questions tonight: How did we reach this point in our economy? How will the solution I propose work? And what does this mean for your financial future? These are good questions, and they deserve clear answers.

●ブッシュ、バブル崩壊のメカニズムを解説
さてブッシュ声明はクラックに至った経過の解説が大半でした。モノログ声明ですから途中拍手やCMなどの邪魔がはいらず15分ぐらいで終わった。これがとてもよく整理されていてわかりやすい。スラスラ頭に入る感じです。米経済の好景気からサブプライムローンの悪化、信用収縮から今日までの経緯を日常の言葉でバカでもチョンでもわかるようになっている。但し、ブッシュはバブルを放置したと言わず、責任の所在も示さない。不幸にして重大な負の結果を招いた。Unfortunately, there were also some serious negative consequences, とすり抜けた。批判は当然あるだろう。が、世界に出回った不良債権、金融破綻への道程は的客観的に分析され、歪曲されていない。教科書に使えそうな評論だとおもう。全文は25日のwashingtonpost.comにあります。

●リキむマケイン
前後しますが、ブッシュ特別声明の予告が出た直後、マケインが選挙キャンペーンを中断すると声明を出し、オバマにも同調するよう申し入れた。救済案が超党派で議会が同意できるようワシントンへ行って問題解決に身を尽くす。米の金融クライシスは9.11に匹敵する危急存亡のとき、いまこそ党派を超え愛国的に行動を・・デッドシリアスなスピーチが臨時ニュースで流れる。

しかしこの短い高潔な声明は結構泣かせます。晩酌のホロ酔いが醒めました。マケインという群れず信条を貫く人は、周囲に推されてとか、成り行きで地位に就いた凡人のなかの優等生ではない。非凡なるマヴェリック(一匹狼)、愛国的直感の義人、曇りなき精神、つまり変人ですね。今日、ブッシュはHWで財務・金融スタッフと議会代表者による経済サミットにマケイン、オバマを招いている。わたしはマケインがイニシアティブをとってリキまなくてもいいと思う。どうせ選挙の政治的駆け引きと批判されることは判りきっている。民主党から総攻撃をうけるだろう。

金融危機以来モメンタムはオバマに移り、差が開くばかり、5〜10pの差を挽回するにはショック療法しかない。だれしもマケインが焦って主導権奪回に賭けたと反射的に考える。マケイン側はそれを承知の上でやはり賭けた部分はあっただろう。私感では純粋な正義感が 80%, モメンタム奪回賭け・目くらましの術 20%。買いかぶりといわれようがそう思うわたし。同時にマケインは大統領に適さないとするわたしの持論にかわりない。『やはり野に置けテッポウユリ』です。

●金融危機でスーダラ節のオバマ
金融危機の打開にむけてオバマ側からまず共同声明の提案があったという。マケインは電話をとらず、あとでオバマにかけ直し、共同声明を自ら提案したかたちにした。どうやらその数分後にマケインが選挙戦中止の声明を出したらしい。驚いて記者会見を開いたオバマはしかし余裕綽々、こんな具合です:大統領は同時に複数の問題に対処しなければならない。国民が注視している討論予定を変える必要はない。議会指導者とは常に話しあっており、政府の要請があればいつでもどこへでも行く用意がある。もっともである。大統領候補者の立場で現政府の政策遂行現場にむやみと首を突っ込むべきでないだろう。

しかし共和党の市場放任主義が崩壊したことで降ってわいた民主党支持に幸いしたオバマの経済政策はブッシュ政策への批判と民主党の社会主義的メインロード救済、ウオールストリート懲罰思想である。マケインのようなアメリカ存亡の危機を体で感じているのではない。7000億ドル支出をオバマが容認しているのは、大統領になったオバマにはやれない大盤振る舞いを先にブッシュが決めてくれれば大助かりだからである。

マケインの衝動的愛国アクションが世の支持を得るか、アメリカ人はおセンチが好きですから……。(了)



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