安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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銃社会、フィンランドの課題
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〈 2008年 9月 24日 水曜日 )


●中間テストの教室でピストル連射
当地ではフィンランドで起こった校内銃乱射事件がトップニュースです。
場所はカウハヨキというヘルシンキの西北ボスニア湾に面する地方都市、ここにある職業学校、日本なら短大にちかいがレベルは高い。ここの美術科学生(22歳)が黒ずくめに目だし帽子、モロトフカクテルの入ったバッグを背に中間テスト中のクラスにはいり、ドアを閉めてピストルを連射、20人の学生中9人が死亡した。犯人は頭を撃って自殺、病院で死亡。乱射事件の犯人は殆どが現場で自殺することから一種の自爆テロと言える。自己の所属する仲間社会への自爆テロ。おそらく犯人は周囲の学生仲間から『あの男には気をつけろ』指差されていたにちがいない。

フィンランドでは昨年11月に校内乱射事件があり、この犯人は米コロンバン事件と同じようにネットで犯行を予告、今回の学生サーリ(matti Juhani Saari)もピストルを撃つ本人のビデオを ユーチューブに出していた。そのひとつはカメラに向かって『次はお前だ』と発射するシーンがあった。カウハヨキの警察は金曜市民の通告をうけて月曜日にサーリを聴取したが、単なるおあそびと解釈したのか、ピストルを没収せず返した。で、翌朝に乱射事件が起こった。警察のミスが今問われている。

●100人で45丁の銃が見つかるフィンランド
犯罪率の低いフィンランドにあって、銃による犯罪が異常に多い理由は銃規制の緩やかさにある。国民100人で45丁の銃が在るお国柄である。個人が所有する銃に関して、国連の統計でフィンランドは米、イエメン、スイスに続く4番目である。人口540万人のうち160万人が所有する国連統計だが、無登録の銃器が最大値150万丁と推算されているくらいだ。

フィンランドでは15才から銃保の資格があたえられる。サーリは2002年から人間を殺そうと計画していたそうで、そうすると17歳の頃から射撃の腕試しをしてきた異常な反社会的ティーンズだ。フィンランドの伝統的に緩い銃規制は、ネットとケイタイによるグローバルな社会変化に対応しない。異常な若者に銃を持たせて野放しにする危うさは二つの校内乱射事件で論議されるだろう。

●狩猟と銃の伝統が崩れたネット社会
フィンランドの家に銃が多い理由は、広い北極圏にまたがる国土で狩猟が生活の営みであったから。スポーツや趣味ではない生存に関わる北欧の営み、単純明快な理由である。ペイリン候補がライフルを撃つのは狩猟カナダ人の伝統である。フィンランドには自衛のためというワイルドウェストの伝統はなく、したがって殺人武器という概念は希薄だったとおもわれる。

さて、銃器法の見直し改正は必至、他の北欧諸国のように年齢の引き上げ、正当な理由がなければ所持できないようになるとおもう。が、隠れた銃の多さと、所持家庭での管理に問題がのこる。(了)



Pnorama Box制作委員会

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