安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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みんなまとめて面倒みよう
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〈 2008年 9月 20日 土曜日 )


● Bloody Sunday to Happy-Sunny Friday
流血の日曜日からハッピー晴天の金曜日へ、たった5日で株価が流血前に戻りました。世の投資家/グループが雪崩をうって市場に返り、株価はほぼ流血前に戻したではないか。投資やバクチはやったことがなく、麻雀パチンコもしらないわたしには『世にも不思議な物語り』であります。前日身売りしたHBOSは株価を50%急上昇、こんなことならロイズ傘下にくだらなくてもよかった。当地オスロ証券取引所は一日で9%アップ。人のふんどし(公共資金投入)でスイングする根性が気に入らん。とまあ、置き去りにされた人間は拗ねてみたくなる金曜日の現象でした。

●ブッシュの主眼は米の威信回復
それにしてもブッシュの動きは早かった。おもうに金融危機を救うより、アメリカの威信と信頼の危機を脱するのが狙いだろう。だからこそ素早く対応した。木曜日は共和党の資金集めに行く予定をキャンセルしてポールソンやバーナンキ、下院議長のペロシら超党派で幹部をホワイトハイスに招集。『みんなまとめて面倒見よう』と、不良債権買い取り案を提示した。その木曜日の夜、財務省とFRBが作った試案をペロシら議会のリーダーに提示、民主党も協力することで合意。不良債権/資産を全部まとめて買い取るためには数千億ドルが必要。税金だぞ。ESBや各国中央銀行、ロシアも加わった公金投入の全額がいくらになるのでしょう。今回の大胆包括的な対策にくらべるとAIGの救済は絆創膏だといわれる。なるほど、でもやっぱりわかりませんな。

●成否の兆しはひと月後
買い取り機関が買い上げる不良債権は簿価か紙屑同然になった市場価格にするかでエライ差がでる。投げ売り値段で買い取ればのちのち市場が回復したとき高く売れ、それなら税金の利用価値があるけれど、日本の経験ではそうでもなかった。また、米の不良債権は混合商品を証券化した怪しげなものが多く、景気が良くなってもうれるかどうか。その辺りは買い取りにもヘッジファンドは扱わない、空売りを禁止するなどブレーキはかけるという。そのほか銀行が借り受ける融資は2年をめどに返済義務があったのでは?漠然とした不安がつきまとう。

最大の不安は政府による不良債権買い取り処理が究極の対策であり、これが機能しなかったらおしまい、次の対策案はない。うまく行きそうか崩壊するかは一月くらいで兆候がはっきりするだろう。

●救済策の成否と選挙のややこしい関係
金融業界を助けておいて、家を差し押さえられ、借金地獄の400万人の民を助けないのはいかがなものか。この意見は民主党左派に代表される。共和党の右よりは公的資金投入に賛成したためしがない。ところが中道寄りになったオバマと、中道寄りになったマケインは、両者とも明確な態度表明は及び腰だ。

どちらかといえば、マケインはFBRは本業に戻れ、市場救済に関わるべきでないと批判的。一方オバマはポールソンの救済案に支持を表明した。で、大統領選最終場面になってこの大胆な救済プログラムの『成・否』が見えてくる。『成』なら支持したオバマに有利かというと、ブッシュ対策が成功したのだから共和党マケインが結局有利になるとも考えられる。『否』となればマケインがなんと言おうが共和党は見捨てられる。(了)



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