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原則違反、対インド民生原子力協定
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〈 2008年 9月 10日 水曜日 )
●インドに例外措置
知らないところで我が国の態度表明がされている議題が多々ある。6日、日本はNSC(原子力供給国グループ)の臨時総会でNPTに加入していないインドに原子力関連物資、機材の輸出を可能にする協定に賛成した。 たてまえは原則に沿っていない違反だ。ブッシュが、中国を牽制する意味と台頭するインド経済に国交修復を期して妥協した産物であるところの『米印民生用原子力協定』ができたとき、パキスタンを筆頭に中国、ロシアが反発した。こういう国が反対する協定に、他のNTP加盟国は原則を忘れておとなしくなる傾向がある。この協定をNSC45カ国が承認していよいよ米が実施する運びになった。 ●実効性を失ったNTP しかしNTP(核拡散防止条約)は、ご承知のように核を保有する非加盟の中国を除いた安保常任理事国が自分たち以外は作らせない、IAEAの査察は受けなくても可という不平等条約です。故に、核武装を目指す被害妄想の国々はNTPに加わらず批准しない。これまではさいわい脱退する国がないために実効性がなくとも、とにかく維持されてきた。だが例外扱いにしたのではNTPの存在意義が失われます。イランや北朝鮮の口実に反論できない愚行だ。 ●懸念と修正を意思表示した親米国 かといってNTPがなくなれば不安です。ロクでなしの国連もなければ空恐ろしいのと同じで、インド例外をNSCが承認したのはヤムを得ないのかなあ。IAEAが核実験をしない条件など査察適用の一札をとってOKした以上、反対してもムダですから。加盟45カ国のなかで総会前に懸念を示唆していたのはオーストラリア、ニュージーランドオランダ、スイス、ノルウェー、アイスランド。なんの因果かEUに入らないマイ・ウェイ3国が勢揃いしました。結局、多勢に押されて全会一致で決まったのですが、唯一の被爆国・日本のメッセージがない。淋しい。 ●インドに売り込め! できたものは仕方がない。視点を変えます。日本の原発技術は稼働にポカがあるけれど、世界をリードする分野です。中国への原発プラント輸出はサルコジに取られたけれど、アメリカをはじめ固定客を持っています。インドは石油生産が少なく、エネルギー不足が目前に迫っている。『日印民生原子力協定』を結んでインドに売り込め!NSCは文句を云えまい。(了)
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