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シュートを決めたホッケー・ママ
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〈 2008年 9月 5日 金曜日 )
●HOCKEY MOM (ハッキー・マム)
サラ・ペイリンがマケインの指名で初めてTVに映ったとき、I'm just a Alaskan hockey momと言った。アラスカでは元気なママさんをこういうのかと気にも留めなかったが、会場では前列に陣取った地元アラスカ組が掲げるHockey Momと書いたボードが目につく。ペイリンも演説でI was just your average hokey mom、わたしはごく普通の(アイス)ホッケー・ママよと、日本語でならスポーツをまぶした『肝っ玉母さん』にあたるか、どうもしっくり訳語がないが人物サラ・ペイリンを一言で表現するならハッキー・マムである。 期待通り副大統領の資格充分を印象づけたパワフルな演説でした。全米3700万人がサラの受諾演説を聴いた。これを境に民主党ヒラリー支持者でオバマに躊躇するおばさまの2割くらいはマケイン・ペイリンに投票するだろう。私感ですが来週末あたりの世論調査で、オバマのリードは2ptに縮むと予想。次の注目は来月予定されているバイデンvsペイリンのでありましょう。 ●州自治のムダを省く ペイリンはマケインのように話にメリハリがある。受諾まで持って回った言い方をしない。そんな決まりきったことは演説の冒頭で宣言しちゃいました。演説内容はバイデンもコメントしていたように医療や経済対策への言及がなく、ホワイトハウスで何をどうするか、具体的な政策は石油政策を除いてなかった。しかし人々が知りたい『ペイリン自身』について、その経歴と生活信条、つまり政治的スタンスと、知事時代の目を見張る業績をクッキリ示した。自然体で。 目を見張る業績とは、我が国政府官庁、地方自治体のムダ使いがいっこうに改善されない情けない行政に鑑み、驚嘆の成果である。例えば 1)前知事の専用ジェットをeBayで競売、運転手付き知事専用車を止めて自分で運転して出勤。2)ムダな出費に知事の拒否権を発動して5億円節約を果たした。下院が決定した橋建設に用途限定されたガソリン税の停止。橋が必要なら我々が作ると拒否してガソリン税の大部分を州民に還元。3)石油企業、そのロビイスト、既得権グループ(Good -ol' boys network)に立ち向かい、エネルギーと資源産業分野の独占を解体し、自由競争への道を開く。近々完成するアラスカを縦断するガスパイプラインがこの成果。 ●自然体 ペイリンはときに鼻にしわ寄せしたり、微笑んだりジェスチュアは小さく声を荒げる様子はまったくない自然体がよい。進軍ラッパのようなE-ケネディ、バイデン、オバマ、(ヒラリーにも気配あり)に違和感を覚えるわたしには、3日壇上に立ったロムニー、ハカビー、ジュリアーニ、ペイリンの自然体が好きだ。もちろんマケインも演説は常態である。会場の熱気と己に酔いしれて自大になることはない。 翌朝のメディアはオバマ側を鋭く攻撃したコメントが多いが、通しで夜中(当地時間で朝5時でした)TVライブを見たかぎり、スパイスの効いた箇所がいくつかあるがトゲはない。対抗者の片言節句をとりあげて揚げ足をとるような罵倒はいっさいない。ペイリンの自然体は誠実である。上院議員オバマとバイデンの名を挙げたのはやっと一回きり、常にmy opponentわたしの対立候補は、という言い方だった。 最後にちょっと気の効いたオバマ批判の部分を転載。 But listening to him speak, it's easy to forget that this is a man who has authored two memoirs but not a single major law or reform - not even in the state senate. This is a man who can give an entire speech about the wars America is fighting, and never use the word "victory" except when he's talking about his own campaign. But when the cloud of rhetoric has passed...when the roar of the crowd fades away... when the stadium lights go out, and those Styrofoam Greek columns are hauled back to some studio lot - what exactly is our opponent's plan? (発泡スチロールのギリシャの柱 とは民主党大会の舞台背景のインテリアを指す) ま、これは先にジュリアーニがオバマをばっさり切り捨てたスピーチが特上で明日また書いておきたいとおもう。 余談: ▽子供たち4人目の幼児が5人目のダウン赤ちゃんをだっこしているとき、手のひらをペロっと舐ってそれで赤ちゃんの髪を撫で付けておりましたね。あれあまり見ない光景ですが、昔は当地でも同じようにしてあげたと聞き、欧州ではよくあるらしい。アラスカンなら不思議はないわな。いまでも欧州では手に水をつけて髪の毛を撫で付ける人、トイレで手を洗ってから髪の毛で拭く男を見かける。この件では前例にネオコンのウルフォヴィッツが櫛をベロッと舐めて毛を漉かしてからTV取材に応じる映像を見せていた。あの人がねー、ギョっとしました。 因にペインがダウン症の赤ちゃんを紹介する言葉は尊厳といたわりがある。And in April, my husband Todd and I welcomed our littlest one into the world, a perfectly beautiful baby boy named Trig. From the inside, no family ever seems typical. ---children with special needs inspire a special love. ▽会場に黒人が例外的にしかいない白人集会、問題だぞ。ペイリン演説にブッシュの名が一度も出ない。亭主はエスキモーの血がある厳寒地の住民だ。アラスカには日本人移民ほか中国系も多い。当人は人種差別のカケラもない準ミス・アラスカだが、黒人層を味方につけるのは難しいようだ。 では今朝夜明け前の共和党大会最終日をみるとしよう。(了)
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