安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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イランの国産衛星ロケット
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〈 2008年 8月 18日 月曜日 )


●純国産技術
イランが『純国産』と胸をはる衛星ロケット(SAFIR使者)を打ち上げた。国営TVが発射の様子を実況、当日はそればっかり見せているそうです。各国TVで放映されたビデオを見ると一段ロケットで、たしかにまっすぐにあがりました。けれども「プシュッ」と噴射の音がして上昇が早い。ゴーッと噴射があってそろそろあがるようなクラスではなく、当然としても、斜めに打ち上げれば核弾頭をつけて大陸間弾道ミサイルに使える。

今月はじめにイラン海軍がペルシャ湾で軍事演習をおこない、イスラエルに届く性能のロケットを数発打ち上げている。これは中東地域にある米軍基地が射程内にあるため米国防省がオーバーに反応した。今回のは、あれより大きく米本土に届くロケットである。充分にイラン国民の誇りをくすぐった。

●人工衛星は未完
てっきり人工衛星があがったとおもったら、宇宙局は衛星を搭載していないロケットだけの実験だったという。またロケットは軌道に乗ったというが、計算された軌道ではなく引力圏を脱したという意味だろう。イラン製人工衛星はまだ使い物にならない開発途上にあることを示している。

数日前、トルコを訪問中のアフマディネジャフが、イランの科学者と技術者が作り上げた完全にイラン国産の人工衛星と推進ロケットを完成した、とイスタンブールでの記者会見で明らかにした。北朝鮮の技術も得たのでは? で、たこの歴史的な発射の瞬間にアフマディネジャフも立ち会っていたのであるが、衛星がついていないのでTV演説はない。きまりわるいもんね。

2005年にイランはロシアの通信衛星(SINA-1)をビジネスベースでロシア人技術者にあげてもらった。日本の人工衛星開発も当初はアメリカ製をあちらの技術者に打ち上げてもらい、日本人技術者を寄せ付けなかった。そうだからどうしても自前の技術を開発したくなる。イランの技術者もおなじクヤシさがあっただろう。

●指導者が悪い
だがしかし、イランのロケットが平和的宇宙開発にとどまるとはイラン人も信じない。イランの核開発が発電用で平和目的に限定されているとはイラン人も信じていない。そのうちイランが核開発に成功すれば、サウジ、シリアなども後に続く。どの国もポスト石油時代がくるまえに原子力発電を完成したい。そのためにもイランは平和利用であることを透明にし、国際査察(IAEA)に従うお手本を後続の中東諸国に示す義務がある。ああそれなのに、やっぱりイラン指導者がわるい。(了)



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