安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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逃げ足の速いサーカシビリ
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〈 2008年 8月 11日 月曜日 )


●逃げ足の早い男
サーカシビリは逃げ足の早い男だ。戒厳令を発して最後まで戦うと言った翌日曜の朝早く南オセチアのグルジア軍を撤退させ、停戦を呼びかけた。南オセチアの首都は越境侵攻したロシアの戦車部隊に1日で制圧され、敗走した事実を糊塗したかたちの撤退声明である。電撃攻撃、いわば食い逃げのつもりで始めたところ、ロシアの電撃的反撃にあって退散した。逃げたからって一件落着する事件じゃなし、だがスカタンのサーカシビリがいまできるベストの行動でありましょう。

続々とロシアタンクがツヒンバリに向かう道路を逆方向ロシア領の北オセチアに向かって歩く避難民がいる。南オセチアからの避難民はロシア系の住民その数3万人と言われる。ロシア側報道はちょっとオーバーか。

南オセチアは80%を超える住民がロシア系で、ロシア国籍を持つ人も多いという。それでロシアは越境してもグルジアの攻撃からロシア人を守るという大義が成り立つ。日本人租界がある小さな佐渡島くらいの隣国があると仮定して、その小国の軍兵が日本人殺戮を行えば、憲法があっても出兵し制圧するだろう。勝つにきまっているのだからとりあえず出兵しますわな。

●総スカンのサーカシビリ
撤退は停戦交渉の条件と国連で迫っていたロシア側は、撤退声明がでたあともグルジアの軍事施設や空港を爆撃し、オセチア国境に近いグルジアの町ゴリを猛爆した。ゴリの市民はグルジア人で、避難する方向は首都トビリシである。報道ではグルジア政府はゴリに戦火はおよばない、安心して普段通りに生活してください、と指示していたところに爆弾が落ちた。サーカシビリに怒りが向かっているという。

ラブロフ外相がグルジアの政権交代を要求し、米は民主制度のもと非常識と公式には言うが、問題児サーカシビリを更迭できればしたいだろう。勇み足、早まったことをしてくれたと先のコラムに書いたわたしの第一印象は世界共通なのです。2003年にはじまったグルジアのローズ革命は失敗した。

●ジットしておれないプーチン
プーチンはオリンピックを観戦せず急遽帰国して北オセチア、南オセチアに出兵するロシア軍の後方基地に入った。目の上野タンコブNATOに加盟しようとするサーカシビリには相当頭にきているので本来この対応はメドベージェフだが、ジっとしておれない。プーチンは軍組織と軍備を最新に増強したものの実戦で試したことがない。いま、戦闘機や爆撃ヘリで目標の建物に命中させる米型の精密ピンポイント攻撃を行っているのは、一面性能を確認する所作でもある。

●山には山の憂いあり
どさくさにまぎれて黒海に面するまたもうひとつのグルジア自治区であるアブカシア自治区にロシア落下傘部隊が増派され、グルジアの駐屯部隊を追い出すかまえ。コーカサスの山岳地帯、ロシア領のチェチェンと北オセチア、グルジア領の南オセチアは独立できるまで不穏の憂いが消えない運命にある。(了)



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