安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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グルジア、ロシア人自治州を爆撃
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〈 2008年 8月 9日 土曜日 )


●中国型ニュー・マスゲーム
五輪開会式のパフォーマンスは最高の国際評価を勝ち得ました。鷹揚に賞賛しましょう。ハイテクを使いながら基本的には一糸乱れぬマスゲームです。北朝鮮もマスゲームは得意ですが、お金と技術とイベント演出が揃っている中国にしかできない大スペクタクルでした。中国が得た自信は計り知れない。

でもあまり尊大になってもらっては迷惑する。中国知人の自慢話につきあわねばならぬか。子曰く『聖人は和して同せず、小人は同して和せず』という教えにならい、みなさま泰然と話をあわせましょう。

グルジアとロシアがAll Out War全面戦争に進むか、ハラハラの最中のロシアチーム入場に観客のブーイングが大きかった。観客は90%が中国人ですからロシアの南オセチア侵攻とグルジア首都近郊の爆撃を批判したかと、それならたいした政治的認識だが、はてな。しばらくしてグルジア選手団が入場してきたが観客はまったく反応しない。あれは一般的な中国人の根深いロシア嫌いでした。もうひとつ、韓国は人気なく、北朝鮮と米の入場に拍手する中国人は複雑だなあ。

●グルジア、サーカシビリの勇み足
南オセチアはロシア住民が大多数でグルジアの自治州となっているが、親米サーカシビリ政権は米の軍事アドバイザーという名目で米の軍事支援をうけており、プーチンは南オセチアに分離は政府を作ってロシアの治安部隊を配置している。おもうにウクライナの場合も18%ぐらいのロシア人がいて、オレンジ革命のあとも政権を分け合ってきた。ユーシェンコはロシアが戦車を侵攻させるような事態になる手前でバランスを取っていて、それが欧米には物足りない。

ところがサーカシビリが穏健なシュワルナゼを破ってグルジア大統領に当選した公約が南オセチアの完全統合であり、この若い大統領は元気よくプーチンに楯いてきた。ために石油を止められたり、かなり経済制裁を受けているのですがイラクに2000人もの兵を送ってアメリカの歓心と支援を保持している。

いつだったか、ロシアの不発弾が領内に落ちたとか、ロシアは言いがかりだとかの論争があり、グルジア軍とロシアに併合を望む分離派政府との武力衝突は不可避の情勢にあった。

ロシアは民族虐殺と非難し、グルジアの報道と内容が異なるものの、先制攻撃はグルジア側がロケットとヘリで分離派の拠点・州都ツヒンバリ(Tskhinvali)を無差別集中攻撃した。小さな町は焦土と化した。このまま戦争が収斂すればサーカシビリの責任がいずれ問われるだろう。

だが、ロシア戦車隊がツヒンバリに侵攻し、グルジアの首都ティビリシ近郊や、軍事基地を空爆した。ロシア機が数台撃墜されたという。今回の国連安保理はロシアの停戦要請が米英の抵抗で停戦合意できていない。戦火がすぐに収まるか、一週間は衝突とニラミ合いが続くのではないかとおもう。もしロシアが大軍を送るようなことがあれば、米、NATO, OSCE(欧州安保協力機構)が行動を起こすので、ロシアだって大それた進撃はできまい。(了)



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