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愛国オリンピック
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〈 2008年 8月 8日 金曜日 )
●スモッグか霧か
中国愛国オリンピックにはしゃぐ市民の表情は無邪気に明るい。なにしろ86%もの中国人が国の発展に満足し3分の2が政府に満足しているという最近の中国世論調査(Pew Res. Cent.)が出ている。日米韓はおろか馬さんの台湾よりはるかに中国政体は国内的に盤石だ。言うまでもなくメディア統制の成果なのですが、昨日からのスモッグは「霧」で汚染ではないという中国政府見解を愛国鵜呑みにする。なんともやりにくいですな。 雲が覆い、空気が停滞すれば煤煙と排気ガスが減ってもあれくらいにはなる。放っときゃいいのに、夜の間に人口雨を降らせてスモッグを退治し、日中は晴れにしようと涙ぐましい。これは干ばつ対策に中国が前々から実験している雲に化学薬品をミサイルで発射、薬品を発散させて水滴に変化させる方法ですが、雲の状態が今にも降りそうなときにやや効果があるくらいで、ナンセンス。で、それを言っちゃ言葉の袋だたきに遭いますからあちらで口にできません。 ●時と場所と人種で違う警察の取り締まり さて、新疆で取材中の日本人記者が暴行を受けた上カメラを壊され散々な目に遭わされた事件は、御法度の分離独立に関わる取材ですから記者さんの不注意ではあるが、すぐ近くにいた『国境なき記者団』の連中はセーフでした。要するに倒され蹴られた日本人記者は中国人と間違えられたのですな。詰め所に引っ張られて日本人とわかったのですぐ釈放されたのが実情です。中国人だったらいまごろは政治犯学習所送りだ。 開会式が行われる鳥の巣近くで照明灯ポールに上って自由チベットの垂れ幕を1時間にわたって翻した米と英の4人組は、警察の扱いが異様に丁重でありました。世界に現場が報道されるので手荒なことはできない。優しく国外追放されて、さっそくTVに出演して手柄話をしゃべっていました。ロック・クライミング趣味でよじ上るのは得意というただのバカ。中国人なら政治犯学習所行きなのに。 ●反発を呼ばない叱責のコツ ブッシュはオリンピックに政治を持ち込むないと言明して開会式出席を最初に宣言した。胡錦濤が喜んだのなんの、そうしておいてでミャンマーの反体制派とあったり、宗教の自由と人権にチクリと中国批判を行った。このへんの呼吸がさすがベテラン米大統領のバランス感覚なのかな。同じことをサルコジが今言えば、中国の反仏は10年続くだろう。 とはいえ、ミャンマー首相が開会式に来る。北朝鮮のNo.2金永南もくるのでしょう。スーダンのバシルやジンバブエのムガベを支援する中国、そんな中国におんぶして六カ国協議を維持しているブッシュの意図は何だろう、詮索してもはじまらない。好きかと問われば嫌いだ。而して柔らかな発想である。(了)
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