安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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中国が西欧を経済制裁する
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〈 2008年 8月 5日 火曜日 )


しばらくコラムを休みました。連日友人や催しに出る機会があって今日も真夜中を過ぎて家に着く。楽しくやっておりましたのでつい書き物を怠けたほかに理由はありません。今日はムリしておもいつくままに書き連ねます。

●北京オリンピック、ハコは出来たが
そうこうしているうちに今週から北京オリンピックが始まるのですね。泣いても笑っても待った無し。

会場施設の工事がちゃんと完成するのか、間に合うのかと意地悪な懸念はみごと外れました。地下鉄も新空港のインフラも、突貫工事はさすが中国できるところを見せました。ま、会場の地上げとか、労働基準法とか作業員の人権に頓着しなくてよい強権の国ですから可能な分野と申せましょう。

報道規制に関してはいくらオリンピック期間中といえ、あの中国で報道が完全に自由になることはありえない。それを信じていた国際オリンピック委員はみなスポーツ馬鹿の国際オンチですからいいとして、世間が目くじらたてるのは滑稽だ。

●分離独立運動と法輪功は御法度
中国領内の分離独立運動と、狂信宗教団体は中国が絶対に譲らない二つの報道規制である。法輪功は政府転覆を謀る過激な狂信組織と見られている。また昨日爆破テロがあった新疆ウイグル自治区のカシュガルへ記者が入って中国政府の弾圧ぶりを書くことは到底不可能である。新疆(Xinjiang)はイスラム教ウイグル人及びトゥルク人の土地であり、チベットはラマ教チベット人の土地である。ソ連邦崩壊で多くの地域がロシアから独立したように、新疆ウイグルとチベットはいづれ独立して然るべきと考える。ただ中国人の移住による自治区の中国同化政策が以外に成功しているのであと2世代弾圧が続けば、どうなりますやら。

北京の空気汚染はばい煙を出す工場封鎖の効果が現われたようで、五輪期間中の北京の空は近来にない青空が広がるようすです。まさか会期中雨ではないでえしょう。市内の車は奇数/偶数ナンバーによる規制で民間の車は実質半分に減る。渋滞なく車が流れる。こうして物理的環境は整備され、統率力に長ける中国政府を印象づけました。

●中国が西欧を経済制裁する環境
で、この中国政府の統率力が経済力にも増してコワイ、西側首脳には脅威なのでしょう。もちろん中国が脅威などと先進諸大国が負け犬みたいな言辞は使いませんが中国を怒らせるとしつこい威嚇を受ける。メディアを使わない外交ウラでの威嚇です。皮肉なものでこれは久しく清の時代から中国が欧州列強からの脅しに降伏して学んだ術策を逆用している。

チベット騒乱の強圧に大声出したけれども、中国の威嚇に負けた西側政府は抗議を引っ込めた。威嚇の内容で一番多いのが経済制裁、中国が西側に経済制裁、つまり大型商談の破棄や進行中の経済協力を白紙に戻すという威嚇です。経験浅いサルコジはチベットやダルフール問題で向こう見ずな中国非難を発してたちまち胡錦濤の門前に降った。官製発の反仏運動にも痛手を受けた。

あのとき、福田首相が非難を避けて友人のアドバイスという生温い形にしたのは賢明だったのかな。洞爺湖サミットでG7が首を揃えていながらチベット問題は禁句という異常な状態は、中国を怒らせまいとする西側トップの無策をサミット宣言したようなもの。さような体たらくではミャンマー首相を開会式に出席させる中国に文句は言えまい。(了)



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