安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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孤軍奮闘するジョン・ボルトン
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〈 2008年 7月 21日 月曜日 )


●ボルトンの論文
ブッシュがまだ押せ押せであった頃、国務次官から国連大使を努めたジョン・ボルトンが、北朝鮮へのテロ支援国家指定解除の動きについて、ウォールストリート・ジャーナルに論文を発表してブッシュをケチョンケチョンに批判しました。産経ワシントンの古森義久氏がこの記事を非常に手際良く紹介されている。http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/157726/

以下は小生がボルトンの正論などあれこれ駄文です。上記サイトをぜひ一読されたうえ、ヒマがあればおつきあいください。

●流れに抗して
下院で民主党が過半数を占めたときでもなおブッシュは「ボルトンは国連大使に最適の人物」と継続を願ったのですが、議会の承認得られず退任した。ま、当然ではあるが、それほどブッシュの信頼が厚かったことの証明である。しかしブッシュは任期最後の年に入ってからというもの、引きずってきた国際懸案事項の決着を急ぐようになった。内容はともかく外ヅラを繕えばOK、安易に過ぎるのではないかと思う人は多い。が、そう考える同じ人が一方で、対話に寄る和平への転換は好ましい、対立が長引く事にウンザリだと感じている。で、米議会の大勢も北のテロ指定解除に賛成、イランとの対話賛成に傾斜した。

イランに武力攻撃を!とライス長官は一度も言ってないが、ボルトンは一貫してイランの核施設を叩け!でやってきた。国連の汚職ムダを改革するべく「国連ビルの10階以上は要らない」と公言した外交官でる。さて、北朝鮮が『核計画の完全な申告』に応えて膨大な資料を提出したのが5月上旬でした。この資料は2万ページというベラボウな資料で、このガラクタ資料については08年5月10日のハードコラム前半で価値無しと述べた。http://homepage2.nifty.com/lite/hard_column/no_nippon_1200.html

この2万ページ資料が中国を通して米に送付されたとき、画期的とポジティブなコメントの中で唯ひとりボルトンがTVインタビューでこう応じた。『資料はヨンビョン施設に関するもの、それならなら米は調査済みで先刻承知だ。知りたいのは核兵器がいくつでどこにあるか、ウラン濃縮の実態、シリアへの核技術移転である』と。返す刀でブッシユ政権最大の大失敗と直論しました。5月10日のコラムのネタはこのインタビューなのでした。

●米朝合作『核申告』文書
実際、米はこの膨大な資料を読んで検討するのを諦め、『申告書』に見合った分量に改訂するため、ヒル次官補と北代表が詰めて60ページに作文し、6月に北朝鮮が正式「核申告」に提出する運びとなった。製作に米国務省が加わっているのだから、そりゃ米は認めるに決っています。検証法が同意できなくてもかまわない、カタちは整ったというわけです。北にとってはヒラリーが負けてしまったからにはブッシュがいる間に取れる物を目一杯取っておこうという算段がある。ブッシュの人気は中東欧州でさっぱりだが、中国と北朝鮮の政府ではとても高いのです。

ボルトンは現在、シンクタンクAEI(American Enterprise Institute)に席をおいてネオコンならぬ正統保守の最前線で孤軍奮闘している。ライスが来るASEANで北朝鮮外相と直接に会談するご時世だ。もう再び公職に就ける機会は訪れないだろうボルトン、独特の論旨はわたしの大好物であります。(了)



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