安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
洞爺湖サミット余録
------------------------------------------
〈 2008年 7月 9日 水曜日 )


●サミットはミニ国連ではない
G8洞爺湖サミットは意外に楽しめました。本筋の協議テーマと同意内容、共同宣言とか議長総括を眉間にシワよせて論じるのはそもそもまとはずれな見方であって、国際的に拘束される決議でもなければ、G8各国間の決議でもない。サミットはミニWTOでもなくミニ国連でもない。という感じで本筋を離れて気楽に見ると、洞爺湖サミットはおもわぬ実像をあぶり出しています。

前回ドイツのハイリゲンダム・サミットの主要議題は地球温暖化とアフリカ支援、石油と食料の値上がりでした。アフリカ支援では各国いくら拠出するか目標を決めたのですが、約束守った国はひとつもない。議長として力んだ宣言に仕上げたメラケルは失望した。今回の温暖化ガス排出目標合意にアイソよい満足ぶりのメラケルでしたが、なおざなりな気分での陽気だろう。

●潘さんにパンチ
今年はこれら年越しの問題がより重大で深刻になっていた。さらにへインフレと経済停滞が加わり、そんな状況で昨年より一歩前進した長期目標の設定をきめたところで欺瞞に過ぎないのです。『2050年までにCO2排出量を半減すべきことを世界の目標にするべく同意する』とは、なんて人をくったはなしなのでしょう。潘キムーンが中期目標の設定を説いて廻ったが、そりゃあなたの国連が進めるべき議題ですぞ。サミットは環境保護団体じゃない。ま、見向きもされなかったがバンさんはイマイチですな。それとは別に中国、インド、ブラジル、メキシコ、ナイジェリア、エチオピアなどのゲスト国は独自に『先進国の目標は50ではなく80〜90%削減せよ』と主張。ね、拡大Gはようありません、紛糾。ケンカばかりになります。

●アフリカ問題に煮え切らないアフリカの首脳
アフリカ支援、エイヅ、マラリア、飲料水、食料などの支援については特に米英仏など熱心なG8にくらべ、肝心のアフリカ首脳たちはもっぱら財政支援に関心があり認識のギャップが大きい。アフリカをゲストに迎えたのはフランスが開催したエビアン・サミットと記憶している。元宗主国のイギリスやフランスが熱心なのはわかるが、アフリカの首脳の考え方はいつもおもうのですが。

●中・露、ジムバブエ制裁を拒否せず
ジムバブエの仲裁に南アのムベキは何度もムガベのところに行ったり来たりしているが、事態は一向にはかどらない。今回来ているアフリカ連合AUのビン委員長はムガベを認めている。介入は内政干渉になると言い、率先して経済制裁に反対してきた。で、どういう風の吹き回しか、ジンバブエ制裁にロシアのメドベージェフ(プ−チンの了解あり)が反対しなかったではないか。オリンピックを控えている胡錦濤も賛成した。いままで中露の反対で中途半端だった制裁に道がひらいた。おれは洞爺湖サミットが出した、瓢箪からコマの成果です。ただしアフリカ諸国は経済制裁しませんからムガベ政権が代わることはないけれど、野党を含めた統一政府と、国連監視体制が近い将来できそうだ。

●ロシア大統領ブッシュと口論
ブッシュが洞爺湖にいるあいだライス長官はプラハに来て、チェコに配備されるミサイル防御施設の正式文書に調印した。そのことでメドベージェフはブッシュに噛み付いたそうで、ここ洞爺湖ですぐ抗議しておかにないと格好がつかないと、その程度の口論であろう。すでにプーチンの激怒は米が延ばし延ばしにしたことで諦念の域にたっした頃だ。

●和料理の品数とヴォリューム
ブラウン首相がサミット初日に食べ物をムダにしない発言があり、イギリスでは評判がよかった。その日の晩餐に19品のコースで各種ワインとサケで贅沢な美食をした、いかがなものかと複数の英メディがとりあげ、メニュー紹介、写真付きでブラウンを非難。軽率な英の大衆紙は19品と聞いてビックリしたのですね。なんのあれしき、同窓会で懐石料理を食べても15品はでますよ。チマチマ種類だけく、お腹がいっぱいになった気がしない。ブラウン首相は残さず全部平らげてムダにしなかったそうです。曰く『わたしには普通の3品夕食におもえたたが、なぜ大げさに書かれたのか理解に苦しむ』(了)

余談1:サルコジは予想通り、胡錦濤へ手みやげオリンピックの開会式出席を胡錦濤に伝えました。中国がダライ・ラマ側と対話をはじめたことを理由にしているが、中国政府の『エアバス、原子炉建設商談破棄』の脅しにたちまち屈し、チベット問題で猛烈な中国批判をすっかり引っ込めている。出席発表の最良チャンス、 EU持ち回り議長と米英日の出席が出そろうのを待っていたのだ。
余談2:G7、G8に出席した日本の首相で各国首脳にいちばん人気があった人は、大平さんの代理で行った大来三郎外相でした。ボンヤリしているようで機転のきく学者オジサン、英語が話せて全然緊張しない人柄がもてました。



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る