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赤いモスク突入から一年、報復自爆テロ
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〈 2008年 7月 7日 月曜日 )
●イスラム神学生と反政府運動
通称赤いモスクLal Masjidとよばれるイスラマバードの寺院にたてこもた神学生(原理主義武装派の温床)が退去命令を拒否して幾日も篭城した結果、ムシャラフがついに武力行使に踏み切り100人位を殺害した事件がありました。あれからちょうど一年経ったのですね。余談ですが神学生を誘導した教官達は夜陰にまぎれて逃げ去った。よくあるはなしです。 一年目のこの日、昨6日はこのモスク周辺でマドラッサ(神学校)の学生が全国から参集、モスクから1.5km離れたメロディー市場で早朝抗議デモをひらいていた。神学生といってもコーランを丸暗記する15−20才の若僧が殆どで、シャリア律法によるイスラム社会を唱和する。詳細な目撃談によると、デモ行進する神学生達を警察が解散させてから15分後、警官達がモスクから数百メートルのところにあるメインの十字路に集まっていたところ、35-37才の男が歩いて近づき自爆したという。午前7時50分、中東の人は早起きですね。パキスタンは電力不足で夜間消灯していることもあるのかな。 ●パキスタンのタリバンに優しすぎたギラニ政府 この自爆テロで19人が死亡、うち15人が警官で20人の警官が負傷した。爆発直後の映像は重なり合って倒れた青い制服警官がみなうつ伏せでしたが、最後はあんな姿勢になるものだろうかとボンヤリ見る。デモの参加者はひとりもケガをしなかった。この日は4000人のポリスが警備に配置されていたので、警官を狙ったどこかの過激武装派メンバーであることにきまっている。 ただ、どの組織か小さな独立グループが多く判らない。パキスタン新政府のギラニ首相はアフガン国境沿いのワジリスタン地方を自治する武装部族たちと停戦交渉をおこなってきた。これは米から圧力を受けて時折は掃討作戦をおこなったムシャラフ与党が大敗してから、新政府は米の意向に従わずともやっていける状況にあり、ギラニ政府はパキスタンのタリバンを率いるメスードなどと交渉してきたのである。 しかしこれが災いして武装派を甘やかし、。2008年はテロが多発した。困った米はこの地区にアフガニスタン側から無人爆撃機を多くつかうようになり、カルザイはタリバンを野放しにするパキスタンに越境攻撃も辞さないと怒ったのでした。それで停戦交渉はひと月前に政府側が業を煮やして交渉を中断した。めでたしめでたし。 ●テロ防止につながった密告賞金 内務相のマリクが犯人の上半身が残ったので似顔絵を配布し、犯人を特定する情報に500万ルピー(768万円)の賞金を発表した。パキスタンのテロはデンマーク大使館自爆攻撃(8人死亡)、や、昨年は中国人誘拐がありました。テロがあるたび賞金を出し、密告に賞金を出している。これがけっこうアタリだそうで、爆発物の隠し場所や攻撃を未然に防いだという小ニュースがパキスタン各紙によくみかけます。(了)
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