安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


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ブれたオバマのイラク政策
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〈 2008年 7月 4日 金曜日 )


●喉元過ぎれば熱さを忘れる
9.11は風化した。3日に発表された米CNNの世論調査はアメリカ人が3000人の命を奪った9.11ツインタワーテロが2006年後風化著しく『近い将来テロが米国内でおこるとおもうアメリカ人は35%』に減少した。

2001年の9.11以来、米では中東や欧州で多発するテロが起きていないが故に、テロなんてもう聞きたくないというアメリカ人が増えたのである。だが、米にアルカイダ関連のテロを未然に防ぐ対策、バラバラだった米の安全保障当局を統合し国家安全保障省を新設したり、情報組織を改革したのはブッシュである。そうやってとにかく米国内に侵入するテロをくい止めたのは誰あろうブッシュである。

かかるな事実を覚えず、テロなど関係ないと「チェンジ」に拍手するアメリカ人を残念におもう。90%のアメリカ人がイラク侵攻に賛成しておきながら、苦境に長引くとあれは失敗だったとあけすけなく批判する。人間のサガでもあろうか、こういうときの民衆=愚衆は幻滅、わたし憂鬱になります。

●イラクの現行政策を継続、1回めの記者会見
マケインがテロ対策をぬかりなくアメリカの安全保障を強調し、イラク政策の継続完遂を訴えるオバマ支持者に煙たがられた。そうでしたよね。
オバマは『イラク侵攻前にイラクにアルカイダはいなかった』、『イラクの米兵を16ヶ月以内に故郷に返す』と訴えると会衆がヤンヤの声援を送った。
でしたよね。ヒラリーを破った一因なのでした。

そこで3日、アっと驚くタメゴローならぬオバマローでござんす。ノースダコタ、ファルゴ空港で記者会見したオバマが『イラクの現行政策を継続する』と、……エ、NO CHANGE! そりゃないでしょう。文句いうほうがバカなのか、オバマの豹変にアっと驚き、なおこの変節をオバマが一貫性があるようにしゃべるのを聞くともうハラが立って、それからあきれかえりました。よくいえばフレシキブル、わるくいえば無節操極まりない。

●16ヶ月以内に撤退、2回めの記者会見
オバマ発言に的も味方も驚き、反響が大きかった。で、オバマが午後に再度記者会見を開き午前の発言を撤回し、もとに戻した。ただしその言い方が下記のごとく、一貫性があると譲らない。どっちへ方向転換しても辻褄を合わせられるよう伏線がいっぱいあるのね。よう云わんわ.

"Let me be as clear as I can be. I intend to end this war," "My first day in office I will bring the Joint Chiefs of Staff in and I will give them a new mission, and that is to end this war -- responsibly, deliberately but decisively." 

"This is the same position I that had four months ago. It's the same position that I had eight months ago. It's the same position that I had 12 months ago."

詳しくはwashingtonpost.comに一回目と2回目の記者会見のライブがあります。

●イジワル気分で……
しかし、核となるオバマ支持者はオバマがどう替わろうが変節しない無節操人種である。だれが大統領になろうと、2009年に待ち受けているのはリセッション、インフレと物価高、原油不足、代替エネルギーの困難さであり、新大統領にはわるい時の巡り合わせである。オバマが有能かどうか、実際に検証したい気もする。(了)

追記:昨日のコラムにベタンクートとベタンコートが混在してしまいました。どう表記するか、欧州の報道ではフランス語読みにしてイングリ・ベタンク−(ル)が一般的のようです。



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