安達正興のハード@コラム
Masaoki Adachi/安達正興


-------- ----------------------------------
コロンビア、ジャングルの人質救出
------------------------------------------
〈 2008年 7月 3日 木曜日 )


●イングリッド・ベタンクート
2日、コロンビアのマルキストゲリラに拉致されジャングルに人質となって6年、イングリッド・ベタンクートほか14名全員が救出された。Ingrid Betancourtはコロンビア上院議員で、2002年の大統領候補、選挙ラリーの途中で拉致された。まだとても若い61年12月の生まれです。昨年暮れ、ジャングルに囚われて佇む彼女の写真が公開されて話題になりました。。やつれて憂いに満ちた俯き加減の表情は一度見たら忘れられない。竹久夢二の描く女性そっくりでありましたな。

マルキストゲリラと書いたはのはFARC(コロンビア革命軍)のことで、コロンビア政府転覆のためにもう何十年ですか、ジャングルを拠点に攻撃されるとエクアドルへ潜伏したり、ヴェネズウェラヘ移動したり、特にヴェネズウェラのチャベスは親米のウリベ政権が憎いので反政府ゲリラとはコネがある。

●終焉に向かう反政府マルキスト
FARCゲリラのリーダー、ラウル・レイエスが隣国エクアドルの越境空爆で殺害され(その模様は3月10日コラム参照)その前にNo.2が実は死亡していたこともわかった。そんなわけでFARCも時代遅れになり、革命反乱軍は半減し、対する政府軍は装備も兵員も2倍に増強された。

さて、この救出作戦は米報道官が公言したように在コロンビア大使とこの辺りを担当する米軍の司令官が救出計画立案に参加していた。救出された中に3人の米軍コントラクトが含まれているので当然だ。

救出作戦は夜暗くなって革命軍に偽装した政府軍ヘリを人質のいるジャングルに着陸、別の場所に移動するとガードの革命軍兵士に通告し、手錠をかけてヘリに押し込んだ。で、ヘリが地上を離れると解放にきた政府軍であると明かした。それにしてもヘリが2台も、ゲリラ風に塗り変えたいえ革命軍にヘリなどないとおもうが、お人好しなガードだ。FARCは逮捕された仲間約100人と引き換えに保存していた人質を失い組織は衰退から終息に向かう。

●救出にハッスルしたサルコジ
コロンビアはスペイン語の国ですが、ベタンコートは小さい頃からフランスの私立学校に通い、フランスの外交官と結婚しているので国籍はフランスにもある二重国籍である。サルコジ大統領が良く顔をだすわけだ。家族とテレビに出て救出を呼びかけ、ゲリラにコネのあるチャベス大統領に仲介を呼びかけたり、救出作戦ももちろん報告を受けていた。作戦成功にさっそくTVに現われ、現在フランスにいる子供たちと妹を、クチネル外相に付き添わせてボゴタへ送りますと特別サービスですか、ま、それくらいのメディア価値がありからでしょう。

救出の1日前に南米訪問中のマケインがボゴタでウリベ大統領と米大使から明日の作戦を知らされていたという。大統領選に有利なのでしょうか、不利にはならないでしょう。サルコジとブッシュは点を稼ぎ、チャベスは面目を潰した。

●ペタンクート、政界復帰
救出が終わって最も驚いたのは人質たちの元気さである。フィットした体つきを見ると粗衣粗食で、YVもネットもないジャングル生活は、精神的にはともかく健康的であるらしい。救出され、ボゴタ空港に下りたペタンコートの即席スピーチが優れている。侮蔑的な移動が解放作戦と知らされた感動、国際社会の支援(ラジオは聞いていた)が生きる力を与えてくれた、などなど胸を打つ挨拶でした。

ベタンクートの政界復帰は確実、アルゼンチンのクリスチーナに続いて女性大統領になる可能性は大いにある。過去、長年服役したマンデラ、拉致された金大中、巣鴨にいた岸信介、捕虜生活を送ったマケイン、等々囚われの身から国のリーダーになった人物が少なくない。ペルーでケイコ・フジモリが大統領になれば南米は3人の女性がトップか……前途多難でもいいじゃないですか。

振り返って、いろいろな人質事件から救出された邦人の場合に感動的な挨拶があっただろうか、総じてつまんない。(了)



Pnorama Box制作委員会

ひとこと言いたいなんでも・掲示板へ
筆者へのmailはこちらまで
HOMEへ戻る